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異世界金融【改】 〜元教師は転生したら働かなくてもいいように無双する〜  作者: 暮伊豆
第三章

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ドナハマナ伯爵

湖畔の別荘、いや別邸から街の中心部に向けて歩く。この騎士の名前を聞いてなかったが、特に聞く必要もないだろう。それにしてもこいつが瀕死なせいでえらく遅い。だからってポーションを使ってなんかやらないけど。




着いた先は貴族街か。領主はもう仕事を終えて帰ってるってことだな?


まあまあ大きい邸宅、領都の私の家より大きいが辺境伯邸ほどではないな。


「は、伯爵閣下に、火急の、用だ。閣下は、おいでか?」


「いらっしゃる。だが、用件を言え。貴様が閣下に火急の用とは怪しいにも程がある。」


ああ、こんな汚職騎士に信用があるはずもないか。瀕死なのに心配もされてない。

なら私が話してみるかな。


「これを見てくれ。伯爵に有益な情報を持ってきた。」


国王直属の身分証と金貨を二枚。門番は二人だからな。


「なあっ! ま、魔王!?」

「ま、まさか!? あの!?」


金貨には目もくれず驚く二人。なんだかすごく真っ当な対応をされてる気がする。


「俺と伯爵はきっと仲良くできると思うぜ? こいつの様を見れば分かるんじゃないか?」


「し、しばし待たれよ!」

「お、俺はここを死守する!」


役割分担もスムーズだ。これが騎士のあるべき姿だよな。


「お、俺は、どう、なる……」


「さあ? 俺は殺さないけどな。とりあえず寝てろ。」


永眠(ながのねぶり)


さて、伯爵はどう判断するだろうか。




先ほどの騎士と執事っぽい男が走り寄ってきた。


「伯爵がお会いになるそうです! ど、どうぞ!」

「ご案内いたします。こちらへどうぞ」


「よろしく。この子達も一緒でいいよな。」


「もちろんでございます」


「ピュイピュイ」

「ガウガウ」




通されたのは応接室か。どことなく、以前更地にしたアレクサンドル家の上屋敷を思い出すな。周りに誰か潜んでるってことはなさそうだ。早速メイドさんがお茶と菓子を運んできてくれた。遠慮なくいただこう。


「ピュイピュイ」


美味しいって? それはよかった。


「ガウガウ」


少し熱い? カムイって猫舌じゃないと思っていたが。




お茶が半分になった頃、身なりのいい紳士が現れた。こいつがドナハマナ伯爵か。


「ようこそドナハマナ伯爵領ラフォートへ。私が当主のハンブルグ・ド・ドナハマナだ。」


「クタナツの八等星冒険者、カース・ド・マーティン。いつの間にか魔王と呼ばれている。こっちはフォーチュンスネイクのコーネリアスとフェンリル狼のカムイ。」


「うむ、存じ上げておる。本当によく来てくれた。君にはお礼を言いたかったからな。」


「お礼? ヤコビニ派の件か?」


父上より歳上の紳士にタメ口をきくのは我ながら違和感があるが敬語キャラもだんだん面倒になってきたことだしな。まあ構わんだろう。


「それもあるが、元妻のトレイナと愚息ウィンドルを処分してくれたことだ。あいつらの愚行には手を焼いていたのでな。」


「ん? いつの話だ? 聞き覚えのない名前だが……」


「二年ぐらい前だろうか。王都から北に向かう道中で君達を狙い、返り討ちにされて死体はアベカシス領のトルネリアに引き渡されたそうだが。」


「ピュイピュイ」

「ガウガウ」


あー、あの時の。あの時は危なかったんだよな。カムイがいなければ死んでいた。ありがとうな。


「思い出した。この子達を狙った太いおばさんとボンクラ息子だな? 俺は仇じゃないのか?」


しかもゼマティス家にまで乗り込んできたんだよな。


「いくら何でも面倒見切れないさ。トレイナはこのラフォートだけでもどれほどの男漁りをしたことか。ウィンドルとてヤコビニさ、いやヤコビニの尻馬に乗ってすっかり愚行を覚えてしまった。処分しようとした寸前で王都に逃げれられてしまったからな。」


なるほど。確かアジャーニ家のマルセルがそんなことを言っていたな。


「そりゃあただの男漁りぐらいなら構わないさ。あいつも貴族の女なんだから。だが私の権力を濫用して見境いなしに部下にまで手を付けたのでは許すわけにはいかん。よくやってくれた。」


あんなおばさんでも貴族女性あるあるに当てはまるわけね。可哀想な部下もいたものだ。


「事情は分かった。こちらの用件はヤコビニ派の残党についてだ。雑魚の割に厄介そうに感じたが。」


「そこまで分かっているのか。その通りだ。私達は『ヤコビニの子供達』と呼んでいるが、全貌は分からない。そこまで多くはないと思うがね。」


『ヤコビニの子供達』か……さすがのクタナツ代官も実子ではないそいつらにまで賞金かけてないもんな。しかも魔法尋問により洗いざらい吐かされたはずのヤコビニ達の口からそいつらの情報が出てないってことは、全然重要視されてなかったんだろうな。たぶん使い捨て、遊びの延長で仕込んだ程度なんだろう。王都で暴れたエルフといい、遊びでやったことの方が厄介じゃないか。世の中うまくいかないものだな。


「そいつらを野放しにしていた事情でもあるのか?」


「ある。騎士の数が足りないのだ。うちもタンドリアも治安がよくないからな。汚職騎士でもいないよりはずっとマシなんだ。」


なるほど。そりゃあ大変だ。一般市民にしてみれば悪人に命を奪われるよりは汚職騎士に銀貨を払ったほうがマシだわな。


さて、どうしてくれようか?

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