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異世界金融【改】 〜元教師は転生したら働かなくてもいいように無双する〜  作者: 暮伊豆
第三章

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八等星昇格試験 中

聞き慣れた声で私に話しかけてきたのは……


「ベレンガリアさんも受けてたんだね。言ってくれればよかったのに。」


そう。今朝だって一緒に朝食を食べたってのに。


「カース君が八等星になったら何か悔しいじゃない? ってことを今朝思ったのよ。それで慌てて受けに来たの。リトルウィングを解散して以来ここにも来てなかったんだけどね。」


「ふーん。久しぶりでよく体が動いたね。少しは稽古とかしてたの?」


「そりゃあ多少はね? 魔法だって錆びついてはいないわよ?」


それにしてもまだ九等星だったとは。オディ兄はもう七等星だぞ? まだまだだな。


「その傷、見た目よりは浅そうだね。」


「まあ……ね。エロイーズさんの鞭ってヤバいわよね……あれで魔物を絞め殺したり斬り裂いたりするんだもんね。」


私も首を絞められたことがあったなぁ。五年前か。


「せっかくだから、ちょっと早いけど弁当貰っていい?」


「いいわよ。味わって食べなさい。ふふふ。」


なんだ? 毒でも入ってるのか?


「いよぉ〜ベレンガリアじゃねぇか〜?」

「おやおや〜? もしかして仲間が死んでビビって解散したリトルウィングの成れの果てかぁ〜?」

「そんで懲りもせず捲土重来キメてまた冒険者んなるってかぁ〜?」


頭が悪そうな顔と喋り方なのに難しい言葉を使うじゃないか。試験にはいなかった奴らか。


「ごめん、誰だっけ?」


ぬおお、あっちはベレンガリアさんの古いパーティー名まで知ってるのに。これは可哀想に。


「あぁ!? 俺らブラッディブレイドブレイカーズを知らねーってのかぁ!?」

「へっ! 仲間が死んでトチ狂ってんだろうぜおぉ!?」

「しらばっくれてっと五臓六腑に聞いてやんぞぉコラ!?」


「いや、アンタらの顔には何となく見覚えがあるんだけどね。名前が思い出せなくてさ。ブラッキーズ?」


「ブラッディブレイドブレイカーズだっつってんだらぁ! ブラッキーズはトライネル達じゃねぇか!」

「いくら仲間が死んだからってあんまナメてっとギタギタのベロベロにしてくれんぞおぉ!?」

「どうやら肉体言語でお仕置きブッコまねぇといけねぇなぁ〜!? おぉ? ベレンガリアよぉ?」


変な奴ら。弁当はなかなか美味しかったかな。


「ごちそう様。美味しかったよ。ところでこいつら誰? 新人?」


「美味しかった? よかった。こいつら? それをさっきから聞いてるんだけど会話にならなくて。やれやれだわ。」


横から聞いてても分からなかったもんな。


「てめっガキぃ!誰が新人(グリーンホーン)だぁ!」

「俺らぁ八年目の八等星ブラッディブレイドブレイカーズだぞコラ!」

「あんま調子クレてっと涅槃地獄で踊らされんぞおぉ!?」


何言ってんだこいつ?


「お、お前ら八年目で八等星ってマジか? それでよく冒険者でございって顔してられるな。」


私も似たようなものだからあんまり言えないけど。


「カース君、八年目で八等星ならそこまで悪くないわよ。もちろん遅い方だけど。」


こんな奴らをフォローするなんて。ベレンガリアさんも意外に良いところがあるな。


「それでアンタ達、私に何の用? 絡みにきただけなら叩きのめすわよ? カース君が。」


おい。


「あぁ!? こんなチャラチャラしたガキが俺らをヤルだぁ!?」

「ナメた格好しやがってよぉ? さっきから調子クレてんよなぁ!?」

「血迷って五里霧中コイてんのかおぉ? 殺すぞガキぃ!」


言われるほどチャラチャラはしてないと思うぞ。服装はいつも通りだし、装飾品と言っても……オニキスのカフリンクス、汚れ銀のバングル、オリハルコンの指輪ぐらいのもんだ。見た目には地味だし、とてもチャラチャラとは言い難い。そりゃあまあ明らかに冒険者の服装ではないけどさ。


「アンタら本当に知らないの? 『真夜中の千杭刺(せんくいざし)』とか。ホットな話題じゃないの?」


千人もいなかったような気がするが……


「バカか!? ありゃ魔女と魔王の仕業だろうが!?」

「連れてきてみろよ! まさかこんな格好だけのハッタリ野郎が魔王って……え?」

「カースって言ったよな……その服装……魔王スタイル?」


やっと気付いたか。何で初見で気付いてくれないかね。いや、そりゃあ分かってるよ? 私から魔力を感じないことと、似たような服装の奴らが増えてるからだよな? いちいち会話で誘導して契約魔法でハメるのも面倒だしね。気付いて近寄って来ないのが一番なんだがなー。


「分かったんならもういいや。行っていいぞ。もう絡んだりするなよ?」


「あ!? な〜に大物コイてんだコラおお!? オメーが魔王だぁ!? 誰が信じるってんだガキぃ!」

「そ、そうだよな〜? こんなガキがなぁ〜? 魔王って言やぁ魔力やべぇって聞いてるしよぉ〜?」

「ちっ、ハッタリかよ! 格好だけで強くなった気になってんじゃねぇぞ!? この張子魔王が!」


風向きが変わってしまった。どうしよう? いくら何でもこの程度で殺す気はないが……


「たまには模擬戦でもやるか? 金貨五枚ぐらい賭けてもいいが。」


「たまにはぁ? 無理すんなよぉ? 金貨五枚も持ってんのか!?」

「俺ぁ構わんぜ? 逃げんなよ!? 訓練場行くぜぇ?」

「オラ、敵前逃亡すんじゃねぇぞ?」


ほんの一ヶ月前にあれだけ虐殺したのに懲りない奴っているもんだな。たまには魔法なしでやってみようかな。

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