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異世界金融【改】 〜元教師は転生したら働かなくてもいいように無双する〜  作者: 暮伊豆
第三章

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父、帰還

全ての処理を終え、訓練場をきれいにしておいた。


アッカーマン先生、つまりアイギーユのことを組合長や校長に言うべきだろうか……言うべきだろうな……

もう存在しないアイギーユや先々代毒針のことも伝える必要がある。ただ、願わくば無尽流に影響が出ないよう配慮をしてもらえると……

まあいい、全ては明日だ。アレクは学校だから送って行きたいところだが、領都はそれどころじゃないはずだ。気にしなくていいだろう。

領都と言えば誰が私に薬を盛ったんだろう? 毒ならば効かないはずだからあれは毒ではない何かなのだろうか? コーちゃんの大好きなお薬だよな? 分からん……

それにしてもあれだけの毒を受けて私もアレクも生き残れてよかったな。天空の精霊からもらった祝福もバッチリ効いているのだろう。


「アレク、帰ろうか。」


「ええ、お風呂に入って休みましょう……疲れたわよね。」


本当に疲れた……取るに足らない相手だが百人単位で殺してしまったからな。

帰り道、私達は何てことない昔話をしながら歩いていた。城壁の外を手を繋いで歩いた話や、同級生に決闘を挑まれた話。それってどちらも私が人を殺した話なんだよな……罪の意識なんか全然ないけどさ……




翌日、遅くに起きた私とアレク。なんと父上がいた……


「父上……帰ってたんだ……」


「ようカース、無事でよかったぜ。アレックスちゃんもな。」


「お、おはようございます……」


話すしかない……この場にいるのは他に母上とベレンガリアさんか……


「父上、 母上も聞いてくれる……アッカーマン先生のことなんだ……」


私は自分がしたこととアレクから聞いた話をする。時々アレクから補足をもらいながら……





「そうか……毒針はジジイだったのか……」


「神の呪い……そんなこともあるのね……だからスパラッシュさんは話せなかったのね……」


ん? スパラッシュさんが話さなかったのは母上が勘弁したからではないのか? そういえば母上の話は全部が本当とは限らないんだったか……


「どうしたらいいと思う……? どこまで公表すればいいのか……」


「カースの好きにしていいぞ。お前が望むなら騎士長や代官にすら黙っておいてやる。」


「ええ、任せるわ。やりたいようにやりなさい。昨日の話も踏まえた上でね……」


くそ、この両親は無茶言いやがる……


「分かった。なら組合長だけに言うことにするよ。お代官様や騎士長に報告するかどうかは父上に任せる。」


「ふふ、そうか。任せておけ。うまくやってやるさ。」


「カースがいいならそれでいいわ。昨夜の処刑の噂はギルドでも広まるでしょうしね。」


あぁ、言われてみれば……母上の目的はあの処刑を冒険者達に見せることでもあったのか。私を狙うと本人のみならず一族郎党関係者まとめて惨殺されると。


無尽流は一体どうなってしまうんだろうか……


「父上、無尽流だけど……」


「気にするな。任せておけ。」


「分かった……」


「ハルバートさんは無関係よ。だから悪いようにはしないわ。アランならうまくやるわ。」


なんと母上はもうそこまで調べてくれていたのか。いつの間に。


「分かった。ありがとね。」


アレクの話によるとアッカーマン先生が引退後クタナツに来たのはハルさんの要望だったそうだ。先生にとっては嫌な思い出しかないこの土地に……今思い出してみるとスパラッシュさんが道場に来た時はどう思っていたんだろうか。いくら顔を変えたと言ってもバレる危険はなかったのだろうか。今にして思えばスパラッシュさんも『先生』って呼んでたよな……偶然なのだろうか……


それにしても……

ヤコビニ派、偽勇者、教団、闇ギルド……

王都でも領都でも呪いの魔笛の現場に遭遇するし……

私ばっかり貧乏クジを引いている気がする……平穏に金貸しだけをやって生きていくつもりなのだが……


『趣味の草野球だと? テメーらには一生無理だ……化け物め……』って台詞があるが、私にも当てはまるかな。当てはまるな。顔が売れてしまっ……いや違う、服装が売れてしまったしな。何か忘れさせる魔法でもないものか。


ん? 忘れさせる?


まさか……校長や組合長がアイギーユのことをほとんど覚えてなかったことや魔物に狙われなかったこと。そこから派生したかも知れない無尽流の奥義……

アッカーマン先生は個人魔法使い?

忘れさせるとか、認識をズラすとか……それならば何も気にせずクタナツに戻ってきたことも納得がいく。無尽流の奥義だと言われているアレ、気付いたら叩かれたり刺されているやつ。あれに関係しているのではないのか?


もしそうだとするなら奥義をアッカーマン先生が使えるの当然か。レイモンド先生がウリエン兄上の腹を刺したあの技、あれは一体どうやったのだろうか……個人魔法ならば他人に習得させることなど不可能なはずだが……


聞いてみるしかないか……レイモンド先生に。まあそれはまたいつか王都に行った時にしよう。聞きにくいけど。とりあえずギルドに行こう。組合長に報告だな。

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