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異世界金融【改】 〜元教師は転生したら働かなくてもいいように無双する〜  作者: 暮伊豆
第三章

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ダンスパーティー

屋敷に近付くにつれ馬車が増えてきた。この混雑具合なら歩いて正解だったな。まだ日も暮れてないのに集まりの早いことで。

私達はゆうゆうと正門を抜け玄関へと移動する。すると、さっそく取り囲まれてしまった。アレクが……


「アレクサンドリーネ様! ついにいらっしゃったのですね!」

「そのドレスは新作ですね! よくお似合いです!」

「ダンスのお相手をぜひとも!」


うーむ、おかしいな。私も結構名前が売れてきたと思ったのだが……


「ありがとう。ダンスの相手をするかどうかはカース次第かしら?」


三人はハッとした顔で私を見る。


「ま、魔王……さん?」

「これが、魔王スタイル?」

「ほ、本物……?」


アレクが私以外の男と腕なんか組むかよ。普通気付くだろ。いや、アレクという太陽が隣にいるんだ。他に何も見えなくても不思議はない……か?


「そうよ。魔王カースよ? 魔王に勝ったら勇者になれるのかしら?」


「あ、はは……」

「こらまた……」

「失礼いたしましたー!」


アレクも無茶言うよな。でもそんな所も可愛いが。勇者か……本物の勇者はベヒーモスでも一撃なんだよな。ならば本物の魔王はどれほど強いんだ? 私は魔力だけなら勇者を超えているらしいが、魔王はどうなんだ? その辺りの記述が『勇者ムラサキの冒険』にも書いてないんだよな。まああれは童話だけど。


「さあ、まずは何か食べる?」


「そうだね。小腹が空いたよね。」


私とアレクが飲み食いしている。コーちゃんは酒を飲んでいる。そこに見覚えのある男の子がやって来た。


「アレクサンドリーネ様。今宵はようこそいらっしゃいました。このリスナール・ド・ダマネフ、望外の幸せにございます。」


「カースが来てもいいって言ってくれたからよ。楽しませてもらうわ。」

「お邪魔しております。」

「ピュイピュイ」


思い出したぞ。宿泊券をくれた男の子だ。私より背が高くなっている。ちっ、しかもイケメンだな。ふん、ウリエン兄上ほどではないさ。


「今回も余興がありますので、奮ってご参加ください。ああ、後ほど僕とも踊っていただけるとこの上なく幸せです。」


「ええ、たぶん参加するわ。ホストに敬意を表して一曲だけね。」


「ありがとうございます。では後ほど。」


アレクにしては優しいな。踊ってあげるのか……はっ、まさか……あの時と同じ、私にヤキモチを妬かせる作戦か! やるなアレク……




少しずつ客も増えてきた。曲も流れ始め踊るカップルもちらほらと。よし。


「踊ろうよ、アレク。」


「ええ、カース。」


「ピュイピュイ」


はは、コーちゃんも一緒に踊ろうな。今流れている曲はタンゴ調。タンゴなダンスなどできるはずはないが、どうでもいい。アレクにリードしてもらって楽しく体を動かすのみだ。コーちゃんだって体を起こしてキビキビと動いている。コミカルでかわいいぜ。




少し長めの曲が終わり休憩する私とアレク。コーちゃんはまだ踊っている。


「今の曲は踊るには難しかったね。でもアレクのリードはバッチリだね。」


「タンゴネンタルね。ワルツと違って難しいわよね。」


いや、ワルツも難しいぞ。ワルツはワルツなのに、タンゴはタンゴネンタルって言うのか。それより今夜の私はすでに酒を飲んでいる。さすがにディノ・スペチアーレやラウート・フェスタイバルほどの酒はないがそれなりに旨い。アレクには飲ませない。私以外にアレクが酩酊した姿を見せてなるものか。


そこに野郎どもが列をなしてやってくる。そんなにアレクと踊りたいのかこのスケベ野郎どもがぁ! アレクの白魚より白い手に触りたいのかこら! ビーナスよりくびれたウエストに手を添える気かぁおぉ? それともまさかどさくさに紛れて夢と希望に誘われた胸元にダイブする気じゃあるまいなぁ!? ラッキースケベなんて期待しとったらぶち殺すぞ?

あれ? もしかして私は酔ったのか? 三杯ぐらいしか飲んでないのに。


「アレクぅ、踊ろうか。」


「ええ。今度はカースがリードしてね。」


アレクは自分に群がる男など見えてないかのように私の手を取った。ふふふ、アレクは私のものだ! 誰にも渡すものか! おっと曲調が激しくなってきたな。ジルバかな? ジルバにツイストばかりじゃ物足りないぜ。コーちゃんも激しく頭を振っている。それはジャンルが違ーう! でも楽しそうだからいいや。ああ楽しい、確かにこんな様を殺し屋に見せることを考えたら笑ってしまいそうになる。こっちはこんなに楽しくやってるのに、あいつらはじっと身を潜め機会を伺ってるだけだもんな。組合長の言う通りだ。全力で楽しんでやる。




踊ったせいか、楽しいせいかヤケに酔いが回っている。私の歳なら酒に弱いのも当たり前だが、私に限ってそうではない。魔力が高ければ毒が効かないように、酒に酔うこともないのだ。それはそれで寂しいが。まあいいや、楽しく踊ろう。

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