表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界金融【改】 〜元教師は転生したら働かなくてもいいように無双する〜  作者: 暮伊豆
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

774/1075

ラグナのおねだり

翌朝、起こしに来たのはラグナだった。こいつは伯父さん付きの副メイド長だったが昨日から私直属のメイドだ。楽園でも家賃の取り立ても任せられそうだ。余分に取り立てて私服を肥やしたり、冒険者を相手に賭場を開帳したりしそうだな。構わないけどね。負けが込んだ奴には私が金を貸せばバッチリだな。悪徳の街が出来てしまうか……ほどほどにしよう。


「ねぇボスぅ、お願いがあるんだよぉ。聞いちゃあくれないかぃ?」


「聞くだけな。叶えるかどうかは知らんが。」


朝から何事だ?


「鴉金のシンバリーって覚えてないかぃ?」


「もちろん覚えてるが。」


人の顔や名前を覚えるのが苦手な私でもあいつは忘れてない。体を何度ぶち切っても魔力がある限り再生する個人魔法って……しぶとい奴だったなあ。


「助けてやっておくれよぉ。」


「助ける? どうやって?」


「そんなのボスがお偉いさんに口を利いてくれたら即刻解放だろうさ。」


どこかの鉱山で労役中だったな。当時は許せんと思ったが、偽勇者の依頼で動いたって話だったな。そもそも命令を出したのもラグナか。シンバリーには少し同情してしまうな。しかし、それならば順番が違うってもんだ。


「なぜ奴を解放して欲しいんだ?」


確かニコニコ商会の幹部はほとんどフェルナンド先生に斬られてしまったらしいな。数少ない生き残りではあるのか。


「行ったことがないから分かんなぃんだがねぇ、陸の孤島みたいな場所なんだろぅ? そこにアタシ一人ってのはねぇ? いくら何でも寂しいさぁ。特に体がねぇ。」


あー、セグノは行かないもんな。そりゃあ寂しいか。


「冒険者が結構来るようになったから男には不自由しないと思うぞ?」


「さすがにそれは勘弁しておくれよぉ。アタシだって男なら誰でもいいってわけじゃないのさぁ。シンバリーはアタシが目をかけて育てた男だからねぇ。」


「ふぅむ、話は分かった。約束はしないが条件が揃えば聞くだけ聞いてみてやるよ。」


「ありがとぅボスぅ。ボスがアタシの相手をしてくれるってんならいいんだけど、そうはいかないだろぅ?」


「当たり前だ。まあ期待しないで待ってろ。」


サンドラちゃんのパパだってシンバリーと同じように鉱山で奴隷として労役してるんだからな。ママの方は草原の街、ソルサリエの方だったな。確かそろそろ解放されてもいい頃のはずだが。とりあえずサンドラちゃんに相談してからだな。


「どうするつもりなの? 助けてあげるの?」


「どうかな? サンドラちゃん次第だと思うよ。僕としてはどうでもいいかな。例え助けたとしてもシンバリーにはキツい生活をしてもらうだろうけどね。」


契約魔法で模範的真人間な生活でもさせてやろうかね。


「そうね。サンドラちゃんのご両親だって巻き込まれた被害者と言えなくもないものね。」


「それから金庫番の騎士もいたかな。合わせて相談するだけしてみるよ。」


信頼が厚いはずの金庫番の騎士が横領の片棒を担いだんだもんな。




朝食を済ませてアレクと王城へ。カムイも連れて行く。今日の門番さんは知らない人だな。


「おはようございます。カース・ド・マーティンと申します。国王陛下か側近の方にお目通りをお願いできますか? お届け物がありまして。」


「お、お待ちください!」


よかった。ガキが朝から何バカなこと言ってんだ? なんて言われなくてよかった。


案内されたのは何回か来た覚えのある応接室。すでにお茶と菓子が用意されている。三人分だ。カムイってお茶も器用に飲むんだよな。コーちゃんもだけど。



待つこと十五分。見覚えのある側近さんが現れた。いきなり来たのに悪いね。


「お待たせしました。マルチノ・ド・ダンバルです。何かお届け物があるとか?」


「急なことに対応していただきありがとうございます。カース・ド・マーティンです。」

「アレクサンドリーネ・ド・アレクサンドルでございます。」

「ガウガウ」


村長からの手紙を手渡した。


「これは私が見てもいいものですか?」


「どうでしょう? ご判断はお任せいたします。僕は陛下からの手紙の内容を知りませんし、それについても知りませんので。」


「そうですか。わざわざありがとうございました。ところで明日の慰霊祭ですが、軽く打ち合わせをしておきたいのですが、九時にはコロシアムに着いておいていただけないですか?」


「いいですよ。了解いたしました。妹や母もいた方がいいですか?」


「いえ、カース殿だけで結構です。もちろんアレクサンドリーネ嬢が同席するのは構いません。」


「分かりました。ではまた明日、よろしくお願いします。」


「ご面倒をおかけしますが、よろしくお願いいたします。カース殿がいなければ始まりませんので。」


確かに面倒だ。しかしこれぐらいは仕方ないだろう。これも貴族の義務か。


さて、帰ろう。事件の真相など聞きたいことはあるがまたでいい。残り少ない夏休みにそんな話など聞きたくもない。さあ海だ海。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
i00000
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ