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異世界金融【改】 〜元教師は転生したら働かなくてもいいように無双する〜  作者: 暮伊豆
第三章

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反撃の狼煙

「夜襲です!」


昼とは別のメイドさんが部屋に飛び込んできた。ついに……


「白い鎧の方です!」


「分かりました。行きます。」


「教団騎士とか言ったな。お手並み拝見だ。」


アステロイドさんは気合が入っている。しかも既に準備済みかよ。いつの間に……

教団騎士か……今回の中身は王国騎士である可能性も高いがな。


「僕はアステロイドさんの後ろにいるからね。近寄った奴だけ相手するよ。」


オディ兄も打ち合わせ通りだ。アステロイドさんの流星錐をくぐり抜けた奴はオディ兄に頭を潰される運命だ。




舞台は廊下。戦況は……あまりよくない。近衛騎士側が押し込まれている。死者こそ出てないものの、白い鎧の性能のためか攻撃が通っていない。敵側の腕前から判断するに、やはり中身は王国騎士のようだ。


『金操』


多少性能が上がったとしても、白い鎧に金操が効くことは実践済み。つまり私にとってはカモだ。見える範囲の首をねじ切ってやった。


「おいおい、俺の出番がないじゃないかよ。」

「さすがカース。鮮やかなものだね。」


「近衛騎士の皆さん、下がってください。残りもやります!」


近衛騎士の視線は化け物を見る目と英雄を見る目が半々ぐらいか。白い鎧の奴らはそれでも襲いかかってくる。二人ほど残して首をねじ切る。我ながら無敵すぎるな。


そして残ったうち一人はアステロイドさんに目玉ごと頭部を貫かれ、もう一人はオディ兄に兜ごと頭を潰された。毒を塗ったナイフも飛んできたが、きっちり跳ね返しておいた。


「さすがの王国騎士も流星錐(こいつ)を相手にしたことはないようだな。」


普通ないよな……流星錐なんて使いにくい武器。特に乱戦中に使われたら防御なんか不可能だろう。

それより奴らは後どれぐらい残ってるんだろうな。


「皆さん、こいつらの死体と鎧、短剣などは提供しますので色々とご利用ください。」


「ああ、助かったよ。あんな無造作に首を千切るとは……ウリエンも恐ろしい弟を持ったものだ。」


「ども、恐縮です。」


そして近衛騎士達は手早く現場を片付け、撤収していった。こんな厄介な鎧を相手に、しかも少人数で互角の戦いをしていたのだ。やはりエリートは違うな。


「やるじゃねぇかよカース。さすが魔女様の息子だな。」


「ども。アステロイドさんも見事なコントロールですよね。針の穴を通すってやつですか。」


「まっ、この距離だからな。オディロンも恐ろしい魔法を使うじゃないか。何人までいけそうだ?」


「あの鎧でなければ百でも二百でもいいんですが、あの鎧は骨が折れますよ。十五人てとこですね。」


近衛騎士が傷つけることすらできなかった鎧を潰せるんだもんな。さすがオディ兄。




それから何ヶ所かで同じようなことが起こり、同じように鎮圧した。紫の鎧も幹部らしき奴も姿を現さない。同じ王城内だってのに、どこに隠れてやがる。




「カース殿。陛下が面会を求めておられる。よろしいか?」


わざわざブランチウッド王子が呼びに来たのか。


「もちろんです。行きましょう。」


国王もこんな夜中まで大変だよな。

ちなみにアステロイドさんとオディ兄はどっちでもいいと言われたので、寝室に戻っていった。あの二人、意外と気が合ってるよな。




そして昨夜も訪れた国王の自室にやって来た。


「聞いたぞ。大活躍だったらしいな。礼を言う。」


「恐縮です。」


「来てもらったのは他でもない。こちらから攻め込む目処が立ったからだ。」


「分かりました。」


「決行は明朝、日の出の直前だ。攻め込む場所は……王国騎士団本部だ……」


あー、そりゃそうか。敵の居場所は分かってたんだな? しかし戦力不足とかで攻め込めなかったと。そこに先ほど私達が敵を圧倒するところを見せたので勝算ありと判断したのか。


「分かりました。ちなみに建物ごと潰すのはダメですか?」


「もちろんやっても構わん。人質がいるのが心苦しいが、彼らも覚悟していることだろう……」


何だと……?


「もしかして……セロニアス騎士長も人質なんですか……?」


「そうだ。セロニアスとその直属の部下達は人質として生かされているようだ。そやつらを使って脅してくることはなかったが、盾にすることぐらいは考えられる。」


何てこった……

私だってクタナツの人間だ。人質など気にするつもりはない……しかしセロニアス騎士長はおじいちゃんの大事な友人。きっと長年支え合って生きてきたはずだ……

それに、私一人の迷いのために『クタナツ者に人質が効いた』などと思われては、先人達が築きあげた金看板に泥を塗ることになってしまう……そのダメージは計り知れない。クッソ!


「分かりました。では流れですが、まず僕が騎士団本部の建物を丸ごと潰します。その後近衛騎士の皆さんで素早く包囲を固め、一人も逃がさないように仕止める、もしくは捕獲する、でどうでしょうか?」


「岩を落とすには高さが足りないが、お主なれば問題なかろう?」


結界魔方陣のせいで上を塞がれているもんな。


「ええ。大丈夫です。ところで、堅牢の魔法ぐらい掛かってますよね?」


「ああ、騎士団には魔法部隊もあるからな。明日は期待している。大義であった。」


「はっ! 失礼します。」


やるしかない……

王国や国王に大して義理などないが、この混乱が終わらないとゼマティス家にも危険が及ぶ。騎士長が偶然生き残ってくれることを祈るしかない。ソルダーヌちゃんやエイミーちゃんのように瀕死でも生き残りさえすればいいんだが……

監禁されているであろう場所だけを避けて崩すなんて器用な真似ができるはずがない。どうせ地下牢だろうしな……くそ、おじいちゃん悲しむだろうな……教団め、絶対許さん!


ん? そもそも王国騎士団はなぜ裏切ったんだ? 仮に副長や各騎士団の団長クラスが教団の信者だとしても下の者全員が信者とは考えにくい。どうなってるんだ……

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