終わりつつある青春
その日の夕食にて。
「ねえ、僕ってどうやら変だったらしいんだ。知らなかったよ。」
「ふふっ、今ごろ何を言ってるの? カースは変な所がかわいいのよ。」
「そうだぞ。カースは変だからいいんだぞ。」
両親の言い分からすると、やはり私は昔から変なのか。別にショックではないが、もしかして前世でも変人扱いされていたのだろうか?
では何か行動を改めるべきなのか?
いや無理だ。今の私はおっさんの欲求と子供の行動力を兼ね備えている。やりたいと思い立ったことを我慢できるとは思えない。
よし、そうしよう。私は変だ。それを認めた上で好きに行動しよう。
そうしよう。
「やっぱり変だったんだね。まあいいよね。
問題ないよね。最近やたらご飯がおいしいしね。」
「はっはっは、カースらしいな。段々と体も大きくなってきてるしな。たくさん食べるんだぞ。」
「うん、ところで母上、背を伸ばしたり痩せたりする魔法ってある?」
「あるにはあるらしいわよ。でも半分個人魔法らしくてあまり知られてないわ。どうもリスクがひどいらしいわ。」
「へー、そんなのがあるんだね。個人魔法と言えば母上は何か個人魔法を知ってたりする?」
「そうねぇ、噂に聞いた程度だけど……」
・髪の毛を立てることができる
・爪を伸ばすことができる
・オナラの音と匂いを消すことができる
「ぐらいかしら。個人魔法は強力になればなるほどみんな隠してしまうそうだから噂に聞くのは変なものばかりなの。だから余計に個人魔法は恥ずかしい魔法だと言う認識が強まるのよね。
後、口から変な音を出すことができる、というのもあったわ。」
「へー色々あるんだね。じゃあ歴史に名を残した個人魔法使いっている?」
「いないことになってるわ。でも興味があるんだったらマリーなら知ってるかも知れないわよ?」
おや? いかにもマリーなら知ってると言わんばかりに。
これはいい話が聞けそうな匂いがするぞ。
私の中の青春ブームが終わったら次は個人魔法ブームが来るかも知れないな。




