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異世界金融【改】 〜元教師は転生したら働かなくてもいいように無双する〜  作者: 暮伊豆
第二章

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アレクサンドリーネの貞操

私は朝から二時間かけてカスカジーニ山へとやって来た。いつだったか命を狙われたこの山に。


降り立った場所もまさにそこ。カースによって輪っかのように焼き尽くされて、未だに草も生えていない。それより内部ではある程度木も生えてきているのに。


ここから歩いて山を降りながら狩りをしよう。今日は大物に出会えるだろうか。




昼。やはりただ歩いているだけで大物なんてそうそう出会えない。これでは弱いものイジメの小遣い稼ぎでしかない。あれをやるしかない……か。


私にできるのだろうか?

確かにトビクラーやガルーダにも勝ってきた。でもそれはカースが見ていてくれたから。王国一武闘会の決勝戦で実力以上を発揮できたのもカースが一番近くで見ていてくれたから。

私は……弱い。


『豪炎』


カースの火球は岩でも鉄でも溶かすのに、私の豪炎では立木を燃やすのがせいぜいだ。魔力をしっかり込めてもその程度なのだ。果たしてどの程度の大物が来るのだろうか。




「おい、いたぜ!」

「おっ、こんなとこにいたかよ」

「案外上まで登ってやがったか」

「ここなら邪魔は入らんな」

「おーおー派手に燃やしてやがるぜ」


ゾロゾロと現れた冒険者風の男達。目の前には五人だが、おそらくもっといそうだ。私はこれだけの人間が近付いていることにも気付けなかったのか……逃げようか。この距離ならまだ逃げきれる……


「おーっと逃げんなよ?」

「逃げたらお前のお友達が酷い目にあうぜ?」

「そうそう。あのかわいい子が可哀想な子になっちまうぜ?」

「おっ、うまいねぇ」

「おらぁ! 分かったら脱げや!」


まさか、こいつら私の体目当て? こんな危ない山の中で!? 正気なの? もうすぐ大物が来るかも知れないってことすら分からないの?


『氷散弾』


「いって!」

「くそっ!」

「おい! やっちまうぞ!」


ちっ、二人しか仕止められなかった。

『氷弾』『氷弾』


「ぐあっ」

「くおぁっ」


残り一人!


「これを見ろ! 知らねーぞ!」


『氷弾』


終わった。何を見せたかったのか知らないが、私だってクタナツの女。人質は効かない。

それなりに魔力庫の中身をばら撒いているが、回収の必要があるのはギルドカードと現金ぐらいだろうか。でも、無視してもう帰ろう……


「痛っ!」


首に? まさかまた吹き矢?

嘘? 体が痺れる? 動かない!?


「やっと大人しくなったかよ」

「高い金払っただけあるよな」

「全くだぜ」

「見ろよあの顔! いつも余裕かましてるクセによぉ!」

「ギャハハ! ザマぁねーなー!」

「闇ギルド特性の麻痺毒だぜ! お貴族様御用達の高級品だあ!」

「好きだろ? 高級品はよぉ!」

「そんなオメーにはさらにプレゼントだ! なんとこの首輪! 金貨五枚もしたんだぜ?」

「高級品だぜ! ありがとうございますって言えよ!」

「バーカ! 麻痺して喋れねーよ!」

「よーし! んじゃ俺からだからよ! 見張りを頼むぜ!」

「仕方ねーなー。早くしろよ!」

「どうせ早ぇーに決まってんだろ!」


なぜ、これだけもの人数が……

なぜ、私はそんなことにも気付かず……

カースがいないと周囲を警戒することすらできないの……


「おい! こいつ生意気に泣いてやがるぜ!」

「ハーッハァー! いいねいいねー! その顔が見たかったんだぜ!」

「いつもいつも男を舐めやがってよぉ! そんなに舐めたいんならいくらでも舐めさせてやるからよぉ!」

「ベイルリパースだ? ノーブルーパスだ? 知るかよそんな店!」

「カァーこいついいコート着てやがるぜ!」

「おーおーそんなコート着て呑気に狩りですかぁ? お貴族様は優雅ですなぁ?」

「オメーら喋ってねーでさっさと脱がせろや!」

「あぁ? てめーが先なんだろうが? てめーで脱がせろや!」

「なんなら俺が先でもいいぜ? お手本ってやつを見せてやるぜ?」

「どっちでもいいから早くやれや。」

「くそっ、脱がせにくいコート着やがって!」

「オメーの手際が悪ぃんだよ。どいてみろ」


何の抵抗もできない……

カース以外の男に……

なのに舌も噛めない……

カースから借りてるコート、真っ白なコートが剥ぎ取られていく……


「やっぱこいついい体してんなぁ!」

「そんなセリフは全部脱がしてから言えや!」

「手を止めるんじゃねぇよ! さっさと脱がせろや!」

「うるせぇな! 俺ぁゆっくり脱がす派なんだよ!」

「そうそう、焦んじゃねぇよ。どうせこの女は今日から俺らの奴隷なんだからよ!」

「そうそう、いつでもやり放題だぜ?」

「闇ギルド様様だな!」


一体何を言っている?

私が奴隷?

今日から?

殺す気はないの?


……甘いやつら……


……それならそれでいい……


この場を……生き延びられるのなら、絶対皆殺しにしてやる……


「うひょー! きれいな肌してやがんなぁ?」

「さすがお貴族様だぜ!」

「高そうな下着つけやがってよぉ!」

「とっとけよ? 売れんじゃねぇ?」

「どこにだよ? 古着屋か?」

「青髪変態貴族とかによ?」

「オメー冴えてんなぁ!」

「さーて、ようやく最後の一枚だぜ」

「俺ぁ知ってんぜ! こーゆーのは黒のレースってんだぜ! いやらしい女だなぁ!」

「期待してたんだろ? 男に捨てられて寂しくてよぉ?」

「ほーら言ってみろよ? 寂しいから男が欲しいですってよ!」

「だから喋れねーって。早くやれや!」


カースにしか見せたことがないのに……

いいわ、私の純潔はすでにカースに捧げた。

やるならやれ。

こいつらの顔は絶対忘れない。


必ず、全員殺す……


「あっ……」

「ん? どうした?」

「なんだこいつ! 脱がせてもないくせにもうイッちまったの?」

「ギャハハ! 早すぎだぜ!」

「まあいいや、イッたんならどけや。まさかもう一回とか言うなよ?」

「おい、さっさとどけや! 次ぁ俺だぞ!」


臭い……

汚い男が私の上にのしかかって動かない……

やるならやれとは覚悟はしたけど……

カース……ごめんなさい……


「さっさとどけって!」

「邪魔なんだよぉ!」

「まだやんのか?」

「あれ? こいつ……」

「おい! 死んでんぞ!」

「この女! やりやがったな!」


私ではない。

できるはずがない!



ああ……



こんな時に、何でこんな時に来てくれるのよ!



カース!



「お前ら皆殺しだ。」

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