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異世界金融【改】 〜元教師は転生したら働かなくてもいいように無双する〜  作者: 暮伊豆
第一章

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そして、夜

そして夜も更け、いつものように大人達の時間が始まる。


「エルダーエボニーエントはどうだった? エビルヒュージトレントは楽勝だったみたいだけど。」


「手強かったぞ。房中錬魔循環を施してもらってなかったら勝てなかったかも知れん。」


「そんなにか、兄貴の腕と剣でもろくに切れなかったんだよな? どうやって倒したんだ?」


「切れないから突いたのさ。魔石を狙ってな。ひたすら同じポイントを三百回は突いたかな。魔石は勿体ないことをしたが、素材はほぼ無傷で丸々手に入った、お土産も奮発するってものさ。」


「さすが兄貴! かなりの巨体なんだよな? そんな奴の体内に隠れて見えない魔石を狙って何回も突くなんて正気じゃないぜ。」


「さすがですわ。房中錬魔循環は関係ないじゃありませんか、実力で勝たれたのですわ。」


「いやいやイザベル様、それが違うんだ。

私が使える数少ない魔法に『身体強化』と『硬化』があるんだが、今回はそれを使いまくった。魔力総量が上がってなかったら途中で力尽きていたはずなんだ。」


「なるほど、それならお役に立ててよかったですわ。」


「ところでオディロン君だが、いいのか? 騎士の息子が冒険者だなんて。」


「おや、兄貴にしちゃあ真っ当なことを言うじゃないか。まあイザベルの実家から見たら大問題だが、俺は気にしないさ。そもそも俺がそのうち騎士を辞める予定なんだから。」


「ふふ、お前らしいな。もし魔境で会ったら助けてやるよ。」


「そいつはありがたい。オディロンにとっても支えになるだろう。まあ、あの広い魔境で会えるかどうかは別かな。」


「あ、あの、オディロン坊ちゃんはやはり金貨百枚を貯めるために……」


「そうだろうな。だがそれもいい経験だろう。お前のために男になろうとしてるんだろう。見守ってやるといい。何ならたまには一緒に冒険してみるか?」


「いえ、やめておきます。坊ちゃんには坊ちゃんの仲間がいると思いますので……」


「うふふ、うちの子供達はみんな変な子ばかりね。かわいいわ。キアラはどんな子になるのかしら。」


「ふふ、エリみたいに兄が大好きになったりしてな。カースがウリエンにしてもらったように本を読んであげてるらしいな。」


「そうなのよ。カースったら勇者ムラサキの冒険ばかり読むんだから。ドラゴンや聖剣に興味があるみたいよ。男の子よね。」


「聖剣か、男になら手に入れてみたいものだよな。兄貴の剣はかなりの業物だけど、やっぱ聖剣にも憧れるものか?」


「そりゃ欲しいさ。どれだけの斬れ味なのか興味は尽きないさ。そんな剣があればエルダーエボニーエントだって一撃かもな。」


「魔剣だったら時々耳にするよな、あれってどう? 使える?」


「魔剣か、好きじゃないな。確かによく切れるが誰が使っても変わりない、つまらん剣さ。そして持ち主の魔力を奪い剣を振るだけの人形にしてしまうのさ。」


「へー怖いな。そんな剣でも兄貴なら使いこなせるんじゃないの?」


「使ったことはあるさ、恐ろしい斬れ味だったぞ。あれならエルダーエボニーエントだって三十回ぐらいで切れるかも知れん。

しかしあれを使い続けると一年と経たずに廃人だろうな。あんなもの誰が作ったのやら。」


「兄貴でもそうなのか。そりゃ怖いわ。その時はどこで見つけたんだ?」


「それこそ勇者ムラサキの話じゃないが、ムリーマ山脈の盆地の一つでな。オーガの集落があったんだが、そこのブルーブラッドオーガが持っていた。たぶんボスだな。

普段ならオーガの集落なんて戦いたくもないんだが、そこにオーガはそいつ一匹しかいなかった。魔剣に魅入られたそいつが全部斬り殺したようでな、それならばと戦ったわけだ。

で、戦利品として手に入れてみて魔剣だと分かったわけだ。

その時は魔力庫に余裕がなくてな、一通り試し斬りをしてからその場に埋めてきた。魔力の回復を待つ気もなかったからな。ドラゴンでも出たら掘り起こして使ってみるのもいいかもな。錆びてなければの話だが。」


「やっぱ兄貴はすごいな。ブルーブラッドオーガなんて素手でも手強いってのに。カースにも聞かせてやろう、喜びそうだ。」


「全く……男はいつまでたっても冒険が好きなんだから。」


四人の夜は和やかに進んでいった。

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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱフェルナンド先生は凄いですね! 同じポイントを三百回も突くなんて!! とにかく勝つことに対する執念が半端ないですよね! この辺がカース君との一番の差かもしれないですね。
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