表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界金融【改】 〜元教師は転生したら働かなくてもいいように無双する〜  作者: 暮伊豆
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

599/1075

マリー、エリザベス。そしてコーネリアス

村に戻ったマリーは早速蟠桃の実を絞ってみる。まずは半個だけを。

それをほんの少し、一、二滴だけカースの口に含ませてみる。するとどうだろう。カースの喉が動いたではないか。これなら上手く行くのではないか、そんな希望が生まれた。


マリーは残り半個も絞って少しずつカースに飲ませていく。動く、やはりカースの喉が動いている。マリーの判断は正しかったのだ。


ちなみに果汁の絞りカスはカムイとコーネリアスが喜んで食べている。


やがて実一個分の蟠桃の果汁を全て飲みきったカース。ほんの少しだけ顔色がよくなったのではないだろうか。


残りの蟠桃は三個。それまでにカースは目覚めるのだろうか。マリーは一日一個ほど飲ませるつもりだが、それでも目覚めなかったら……再び行くしかない。怒れる魔猿の園へ……




そのままカースは目覚めることなく二日が過ぎ、そして明日には最後の蟠桃を使わざるを得ない……そんな夜遅く。

ドムン、と何かがぶつかるような音がイグドラシルの方から聞こえてきた。

静かな夜でなければ聞き逃したかも知れない。


カースの世話で起きていたマリーは胸騒ぎを覚え、音がした方へと向かってみる。そこに横たわっていたのはエリザベスだった。


「お嬢様! お嬢様! しっかりしてください!」


「おいおいマルガレータ。怪我でもしてるんじゃないか? 手当てしてやったらどうだ?」

「そうそう。人間はバカだからな。こんな夜に飛ぶからこうなるのさ」

「しかしこいつはツイてるんじゃないか? もしぶつからなかったらどこまで行ったんだろうな?」


このタイミングで村へ舞い戻ったエリザベス。果たしていいタイミングだったのか、そうでもなかったのか。





エリザベスは酷い怪我をしていた。イグドラシルにぶつかっただけではない、きっといくつもの魔物に襲われたのだろう。それでも方向を見失うことなく、フェアウェル村を目指して飛んで来たのだろう。

しかし普通の怪我ならいくら酷くてもマリーの手持ちのポーションと治癒魔法、回復魔法でいくらでも治せる。



翌日の昼、エリザベスは目を覚ました。


「お嬢様。お加減はいかがですか?」


「マリー……私……やっと戻って来れたのね……」


「ええ、よくお戻りいただきました。ですが坊ちゃんはまだ……」


「そう……これを試してみてもらえない? 母上や母上の実家の秘蔵のポーションを貰ってきたの。」


「なるほど……これはいい物ですね。幸い坊ちゃんは無意識ですが飲み物を飲める状態になりました。これなら上手くいくかも知れませんね。」


マリーは最後の蟠桃の半分を絞り、そこに同じ量のポーションを注ぐ。少しだけ飲んでみたが、やはり蟠桃の甘みは強烈だ。これならカースも吐き出すことなく飲んでくれるのではないだろうか。


一滴ずつ、カースの口内にポーションカクテルを注ぐ。カースの喉が動く。問題なく飲んでいる!


残り半分はまだだ。ポーションと混ぜているため一気に飲ませるわけにはいかない。様子を見ながら時間を置いて飲ませる必要があるのだ。


「ねえマリー。こっちの魔力ポーションは使わなくていいの?」


「ええ。どういうわけか今の坊ちゃんからは魔力が感じられません。ですから魔力に影響を与えるポーションを飲ませるべきではないかと。」


「そうね。妙な状態だけど、顔色は良くなってるわね。」


そして同日深夜。


「これが最後の蟠桃です。これを使っても目覚めないようであればお嬢様、私と二人で採りにいきますよ。」


「ええ、マリーとなら怖いものなしよ。」


そして昼間と同じようにポーションカクテルを作り、カースに飲ませようとした。その時……


「ピュイピュイ」


なんとコーネリアスが容器に首を突っ込み全部飲んでしまったではないか。


「コーちゃん……何てことを……」

「このクソ蛇、何やってんのよ!」


絶望的な表情を浮かべるマリー、怒りを露わにするエリザベス。しかしコーネリアスはどこ吹く風といった表情のまま、頭をカースの口に突っ込んだ。


そのままスルスルと奥に入り込む。


「え、コーちゃん? 何を?」

「カースに何するのよ!」


五十センチも体が入っただろうか。静止すること十数秒。それからコーネリアスは体を引き戻した。


「ピュイピュイ」


どことなく満足そうな顔をしてマリーを見つめるコーネリアス。一体何をしたのだろうか?


「これで坊ちゃんは助かるのですね?」

「嘘!? ホントに!?」


「ピュイピュイ」


もはやドヤ顔と言っていいかも知れない。そんな表情でエリザベスに返事をした。それからコーネリアスはカースの体の上にトグロを巻き、眠ってしまった。

隣にはカムイも寝ている。


「お嬢様はもう休まれてください。後は私が見ておきますので。」


「そう、悪いわね。じゃあ休ませてもらうわ。おやすみ。」


コーネリアスは一体何をしたのだろうか。

カースの命運はいかに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
i00000
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ