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異世界金融【改】 〜元教師は転生したら働かなくてもいいように無双する〜  作者: 暮伊豆
第二章

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VS 魔蠍3

王都は広い。だからスラムなんていくらでもある。取り締まりとかしないのか?

今から向かうのはそんなスラムの一つ。第一城壁外、つまり一般的には王都と呼ばれないエリアだ。


「こんなに迅速にあちこち動かれちゃあ逃げることもできないねぇ。」


ふふふ、狙った獲物は逃がさない。それがこの俺カース三世? いや、むしろアントン三世だな。


さて、隠形をかけてゆっくりと高度を下げる。


「あれだねぇ。あたしが先に行くからボスは後から来てくんな。」


「分かった。任せる。」


ラグナは古びたドアを妙なリズムでノックした。コンココ コンココ コンコンコン。

すると中から声がする。


「お前の父の名は?」


「アンタレスとミラノ。」


ドアが開く。その瞬間ドアを蹴り飛ばし押し入るラグナ。こいつって本当に傍若無人な振る舞いが似合うよな。


「邪魔するよ。グラフィアスを出しな。四つ斬りラグナが落とし前つけにきたってねぇ。」


「やれ!」


おっ、さすがにボスに繋がる幹部を固める連中だ。急な襲撃にも冷静に対応できるのか。しかしラグナも元ボスだけあって雑魚では相手にならないようだ。こいつって意外な拾い物?


しかしこいつ……普通に斬ればいいのにわざわざ四つに分割してやがる。趣味が悪いなぁもう。あぁしまった。殺すなって言ってなかったわ。制圧しろって言ってたんだ。失敗失敗。真人間になったはずだが……私の命令の方が優先された結果かな。

あーあ、中に入りたくないなぁ。血と臓物で臭い。『洗濯』『乾燥』

しつこい血脂汚れも一度洗いで差がつく私の洗濯魔法でキレイキレイだ。


「ごめんごめん。殺すなって言うのを忘れてたよ。次からやめてね。」


「もぉボスったら早く言ってよねぇ。」




「何の用だ?」


おっ、こいつがグラフィアスか?


「落とし前つけに来たんだねぇ。ジュダの奴が私に舐めた真似しやがったからさぁ。」


あぁ奴隷発言ね。建前なのか本音なのか。極悪ラグナも意外とかわいいところもあるのかな。


「ジュダが何をした?」


「あたしを奴隷にするとか抜かしやがったのさぁ。このあたしをねぇ。許せないねぇ。魔蠍ごと潰してやるさぁ。」


「ふっ、一人でか? いやそこの子供は魔王か? つまりお前は魔王の軍門に下ったと。惨めなものだな。敗残者とは。」


せっかくだからもう少し話を聞いてみよう。どんな話になるんだろう?


「大そうな名前のくせにコソコソ生きてるアンタらの方が敗残者だねぇ。聞いてるよ? 王宮で大失敗やらかしたらしいねぇ。長年準備したのに水の泡かねぇ。狙った獲物は何年かけても必ず殺す蠍の一刺しも錆びたもんだねぇ。」


「ふふ、言ってくれるな。いいのか? 唯一の生き残りは預かってるぞ? 大事な幹部らしいな。可哀想に今頃うちの男達の慰み者だ。」


「知らないねぇ。そんな間抜けは知り合いにいないねぇ。人質でも取ったつもりかい?」


あー、昨夜来なかったのは捕まってたからか? あーあ、もう死んでるな。ラグナも気にしてないようでよかった。それよりあいつ、自白したよな? 関与してるよな?

一応もう少しラグナに任せてみよう。


「いいことを教えてやろう。昔から魔王を倒すのは勇者と相場が決まっている。先生!」


突如ラグナは跳ね飛ばされた。何かがぶつかったのだ。相手が私でないとコーちゃんも教えてくれないのね。


「よぉ魔王。お前やっぱり魔王だったな。あん時はよくもやってくれたよなぁ。」


「テメー……偽勇者かよ。会いたかったぜ。」


ここであったが百年目。まさかこんな所で遭遇するとは。『徹甲弾』


鈍く濁った音がする。奴は相変わらず趣味の悪い紫の鎧を纏っている。どこから入手したんだ?


「相変わらず痛ぇな。どんな魔法使ってんだよ。もう油断しねぇからよぉ。」


くそ、大腿部が少ししか凹んでない。足をぶっちぎるつもりだったのに。『火球』

容易く岩をも溶かすのだが……


「あちぃっ!」『水球』


さすがに水球一発で消火されはしなかったが、あまり効いていない。相変わらず魔法が効かない奴だ。


「アレク、ラグナを連れて逃げて! コーちゃんはアレクをお願い!」『……………………』


「分かったわ!」

「ピュイピュイ」


「おらぁ!」


ちっ、でかい剣を使いやがって。そんな大振りが当たるかよ。『落雷』


「効かねぇなぁ。いつまでも調子に乗ってんじゃねぇぞ?」


『金操』


私の伝家の宝刀だ。母上に習ったんだから伝家だよな?


「ぎゃごぉわっ!」


鎧の関節部分を逆に曲げてやった。こいつの以前の紫の鎧には金操が効きにくかったが、今のやつには普通に効いた。

肩、肘、両足の付け根、膝。全てブチ折った。そして『麻痺』


「勇者は魔王に負けちゃあいけねーんだよ! 俺の負けはローランド王国の負けだからよぉ!」


麻痺がきいてない。『永眠』


「殺すなら殺せや! 七回生まれ変わってぜってぇお前を殺すからよぉ!」


全然効かない。なんでこんなに元気なんだ? 身動きとれないくせに。


『断頭台』


ミスリルギロチンを人間に初使用。首を飛ばした。本当は生け捕りにして情報を吐かせたかったのに。おじいちゃんなら死体からでもいけるかな? 収納……できた。うん、間違いなく死んでいる。


うわっ! マジかよ! ミスリルギロチンの刃が欠けている……今まであれだけマギトレントを切り倒しても少しも欠けなかったのに……

一体こいつの紫の鎧は何なんだ!? 武闘会で対戦した小さい紫の奴にしても、どこで入手してんだ?


「お待たせ。そっちは上手くいったみたいだね。さすがアレク。」


「偽物でも勇者なのかしら? 妙な手強さがあったようね。じゃあ帰りましょうか?」


アレクの足元にはグラフィアスが転がっていた。先ほど口では逃げてと言ったが『伝言』でこいつを捕まえておくよう頼んだのだ。ラグナはまだ気を失っている。かなり強く吹っ飛ばされたもんな。


さて、またまたおじいちゃんにおねだりだ。夜中まで働かせてごめんよ。明日肩を揉んであげよう。私とアレクのツープラトン攻撃だ。


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