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異世界金融【改】 〜元教師は転生したら働かなくてもいいように無双する〜  作者: 暮伊豆
第二章

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三回戦第二試合

気を取り直して第二試合だ。ナグアット選手は強敵だし油断せずにいこう。


『決勝トーナメント三回戦第二試合を始めます! 一人目はナグアット・オイルバレイ選手! 弱冠十五歳で既に七等星冒険者! 王都のギルド、冒険同業者協同組合所属! 若手有望パーティーであるリリックオーシャンのリーダーでもあります! 鋭い視線に柔らかな身のこなし! 私の一押しです!

二人目はカース・ド・マーティン選手! 解説のゼマティス卿の孫! 聖なる魔女イザベル様の三男! しかしその実力は七光ではない! ここまで開始位置を一歩も動いてなーい! 頑張れナグアット選手!』


『装備について物言いはありますか?』


「あのローブとそっちの盾を貸してもらいたい。」

「ありません。」


『問題ない。ナグアット選手よ、どちらも使うがよい。』


あのローブは一回戦でも使ってたよな。魔法を弾きまくってたもんな。素材的には大したものじゃないが、魔石による加工がかなりのものなのだろう。ぶち抜きたくなるよな。

また、あの盾はカッサンドラ選手も使っていたものだ。彼女には使いこなせなかったようだが、軽くて丈夫。まるで私の虎徹のようだ。


『それでは第二試合を開始いたします! 双方構え!』





『始め!』


『狙撃』


おおっ、早速あの盾で防がれた。つまり狙撃の軌道を見切ったということだ。さすがだ。ならば『散弾』


『土壁』


水気を含ませた柔らかい壁か。状況判断が早い、そして的確だ。


『火球』『水球』『狙撃』


『石礫』


ポツポツと反撃が飛んでくるが、威力は低い。牽制か?

一方こちらは火球で土壁を焼き尽くし、水球が真上から落下しダメージを与え、狙撃で狙ったのだが……


「くっそ、めちゃくちゃしやがるな……散々見たから、その鉄の弾だけは防ごうとしてんだけどな……防いでんのに手が痛え……」


チャンスだな。


『散弾』『氷弾』『狙撃』


『カース選手! 全く容赦ありません! 開始から猛攻が止まらなーい! 反撃すらさせないと言わんばかりだぁー!』


『ナグアット選手は強敵じゃ。カース選手としては早めに決めたいのじゃろう。』


『同感だ。あの手の選手、冒険者はしぶとい。切り札をいくつ用意しているか分かったものではない。反撃させないに越したことはないだろう。』


私もそう思う。早く決着をつけないと危ない気がする。


『火球』『重圧』『落雷』


『石礫』


やはり反撃が止まらない。私の三発に対して一発だけ撃ち返してくる。こうなったら……


『水壁』


『なんだこれはぁーー! 武舞台上が全て水に覆われてしまったぁー! 両選手とも水没しているぅー!』


『ふむ、カース選手の仕業かの。慎重な子じゃ。』


『それにしてもこの広い武舞台を全てを水で覆い尽くすとは……規格外すぎる……』


準決勝の武舞台は一辺五十メイル程度の正方形。高さは十メイル程度しかないが、全部水にした。さあどうする?


ナグアット選手は空気を求めて上へ泳いでいく。それはだめだ。『水鞭』


気の毒だが足を引っ張らせてもらう。


これで決まっただろうか。

そう考えていたら……


突如、私の水壁が半分ほど吹き飛んだ。マジかよ……


「はあぁーはぁーはぁー……くっ、厄介なことばかりしやがって……」


魔力全開で私の水壁を吹っ飛ばしたのか……やるな。『水操』もう一度頑張ってもらおう。残った半分の水でナグアット選手を覆う。そしてそのまま場外へ落ちてもらう。


『カース選手これはエゲツなーい! 魔力を振り絞って脱出したばかりのナグアット選手を再び水壁に閉じ込めたぁー! しかもそのまま場外へ落とそうとしているぅー!』


『よほどナグアット選手と近寄りたくないらしいの。用心深い子じゃ。』


『あれほど魔力があってもこの警戒ぶり。カース選手は貴族である前に冒険者なのだな。』


当たり前だ。ナグアット選手は強い。近寄りたくないに決まっている。よく昨日の大会に出なかったものだ。出てなくてよかった。


「ぐはあっ! はぁーはぁー……」


またかよ。また水壁を丸ごと吹き飛ばされた。内部で身動きすることすら困難なほど魔力を込めて丈夫にしてあるのに。だが、まだまだ行くぜ!『高波』


当然ナグアット選手は飛んで躱す。そこに『狙撃』『狙撃』


足を狙って連発。盾で防ぎにくいように、そして機動力を奪うために。

一発はローブで防がれたが、もう一発が踝辺りを貫通!


しかしナグアット選手は武舞台に落ちることはなく、さらに上空まで飛び上がった。まだそんなに魔力が残っているとは……『水球』『重圧』

下と上、両方から挟み撃ちにする。そして『散弾』


その時、散弾を弾き返す大きな岩が空中に出現し、私目がけて落下してきた。『浮身』

百トンクラスではなく、せいぜい五、六トンと見た。当たれば即死だが、浮かせるのに問題はない。このままナグアット選手にぶつけてしまおう。『風操』飛んでいきなよ。


『勝負あり! ナグアット選手! 場外どころかコロシアムの外にまで飛ばされてしまいましたぁー! まだ地面には着いてないかも知れませんが、こちらからの目が届かなくなった時点で勝負ありです!』


『解説が追いつかぬ早さで勝負が決まってしまったの。最後の大岩で起死回生を狙ったものの効果なしであったか。』


『避ければ済むものを反撃に利用されるなど、ナグアット選手は考えもしなかっただろう。避けた隙に最後の攻撃をブチ込むつもりだったろうに。』


『運営としては助かりました! あんな大きな岩が武舞台を直撃したら大損害です! カース選手、ありがとうございました!』


勝った。かなりしぶとい相手だった。アレクより強いかも知れない。速攻、ゴリ押しで決めて正解だったな。

さあ、ついに決勝戦だ。昨日はスティード君と、今日はアレクと。理想的な対戦、これぞ青春ど真ん中ストライクだ。

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