表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界金融【改】 〜元教師は転生したら働かなくてもいいように無双する〜  作者: 暮伊豆
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

361/1075

二年後

第二章の始まりです。

私達が卒業してから二年が経った。

私以外の四人はこの四月で三年生となり、キアラはクタナツ校の二年生となる。私はと言うと、代わり映えしない生活を送っていた。




二年前の春、アレクを領都まで送り、魔法学校の入学・入寮手続きを済ませてその足で辺境伯邸に赴いて新居の手続きも行った。

以来私の領都での拠点は貴族街の一等地にある豪邸となったのだ。アレクが手配してくれたメイド、マーリンもよく働いてくれている。

ちなみにマーリンは四十代の小太りおばさんであり、家庭的な料理が上手だ。もちろん掃除もきっちりやってくれているので助かっている。


月に二回はこちらに来て、アレクとの時間を楽しんでいる。もちろんコーちゃんも一緒だ。

アレクも多忙な学校に在籍しているので授業に付いて行くのが大変らしい。私と城門外で魔法の練習をすることも多々あった。


二、三ヶ月に一度はセルジュ君やスティード君も顔を見せてくれる。二人とも寮なので自由に過ごせる我が家を気に入ってくれているようだ。


サンドラちゃんとは一度も会っていない。王都まで行けなくはないが、気が進まないため行ってはいない。


エリザベス姉上は王都、魔法学院の三年生。こちらも二年と少し会っていない。きっと元気にしていることだろう。姉上も今年で卒業か。進路はどうするんだろう。


ウリエン兄上は二年前に近衛学院を卒業し、見事近衛騎士として任官した。新任の近衛騎士はまず全員が親衛隊に入隊するらしい。そこからある期間を経て各王族の近衛隊へと配属されるらしい。


大きな変化があったのはオディ兄だ。

ついに金貨百枚を貯め、父上からマリーを買い取ったのだ。この二年の間に私も何回かマリーのサービスを味わっていたのだが、今後はないと思うと少し残念だ。しかしそれ以上にオディ兄を祝福する気持ちが強い。家族の前で堂々とマリーに求婚したオディ兄は男だった。マリーもまさかそう来るとは思ってなかったのだろう、思わず『はい』と言ってしまっていた。貴族と奴隷の結婚は前例がなくはないらしいので、大きな問題にはなっておらず、奇特な奴もいるもんだ程度に騒がれて終わりだった。

初恋は実らないとは言うがオディ兄はよく頑張ったと思う。やはり自慢の兄だ。


そんなオディ兄の結婚祝いとしてマギトレントの湯船を送った。領都の自宅用にも確保するため一人でノワールフォレストの森まで行ってきたのだ。

場所は分かっているので迷うことはなかったが、スパラッシュさんがいないことを改めて実感してしまい少し悲しかった。スパラッシュさんが命名したスティクス湖だが、あんな砂漠なのに未だ涸れていない。通る度に水を補給してはいるが、それだけではない理由がありそうだ。





そんな麗らかな春の週末。私は今日も今日とて領都に向かっている。半年前ぐらいから循環阻止の首輪をしたまま往復をしている。空中露天風呂も首輪をしたままできるようになった。そんな状態でもクタナツ-領都間の移動に二時間とかからない、ふふふ。


領都北の城門をくぐるとアレクが待っていてくれる。以前姉上から教えてもらった『発信』の魔法で領都のアレクに到着前の合図を送っているからだ。


最近のアレクは私を見つけると抱きついてくるようになった。体も成長してるため私もドキドキだ。


「待たせたかな。会いたかったよ。」


「ううん、待ってないわ。ちょうど来たところなの。私も会いたかったわ。」


デメテの日の昼に来た際はランチに行って昼寝をしてからデートをして、ディナーは自宅でマーリンの料理を食べるのが定番だ。

ケルニャの日の夕方に到着して、魔法学校の校門でアレクを待つこともある。


そして夜は……


湯浴み着で一緒に入浴はするがそれだけだ。同じベッドで抱き合って寝るがやはりそれだけだ。

肉体的な欲望はあるが、中身がオッさんなので自制するのは余裕、今のところは……だが。

アレクも多少物足りない顔を見せるが、そこは子供らしさを忘れないよう口付けより先に進む気はない。やりたいことをやると決めたが、それは自分限定だ。アレクが関係することなら私はいくらでも我慢してみせよう。




そんなある夜。


「ねえカース。私が欲しくないの?」


「え!? どういう意味!?」


「そのままよ。男女が同衾しているのに……カースは何もしないじゃない……我慢しなくていいのに。」


「確かに我慢してるよ。アレクはとてつもなく魅力的だから段々と我慢できなくなると思うけど。でもまだ子供らしさを楽しみたいとも思ってるんだよね。」


「……もう……変なところに拘るんだから……」


こうやって我慢するのもまた楽しいのさ。欲望の赴くままにアレクを貪ってもいいのだが。


「まあまあそんな難しいことを考えるのはやめようよ。アレクの魅力の前にはどうせすぐ我慢できなくなるんだからさ。それまでは子供らしく過ごそうよ。」


「……カースのばか……私だって我慢してるんだから……」


お互い我慢するのも青春なのさ。

こうして領都の夜は更けていく……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
i00000
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ