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異世界金融【改】 〜元教師は転生したら働かなくてもいいように無双する〜  作者: 暮伊豆
第一章

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コーネリアスとコーヒー

ラフォートから帰った翌日、私は普通に学校へ行く。アレクには話しておかないとな。もう知ってそうではあるけど。あ、来た。


「おはよ。ヤコビニのこと聞いた?」


「おはようカース。はぁ、聞いたわよ。さすがに信じられなかったわ。あの城塞都市に潜入したのもだし、ヤコビニの別荘に殴りこんだとか、ヤコビニ本人を生け捕りにして来たとか。」


「スパラッシュさんのお陰だよ。すごい情報網を持ってるらしいんだ。しかも一人で屋敷に潜入して三人も捕まえたんだよ。」


「分かってはいるけど、人を見た目で判断してはだめよね……ボロは着てても心はクタナツ、よね。それでカース、放課後代官府に来て欲しいそうよ。迎えも来るわ。」


「分かったよ。歩いて行きたいけどね。アレクも来てくれるよね?」


「ええ、行くわ。カースがお代官様に失礼なことをしないか見ててあげる。」



いつも通りに過ごして、いつも通りみんなで弁当を食べる。スティード君はまだ知らないようだった。みんなにはそのうち言おう。



そして放課後。アレクと校門前に迎えに来ていた代官府の馬車に乗り込む。


馬車に揺られること十数分、代官府の正門前に到着した。出迎えは副官さんだ。


「カース・ド・マーティン殿、ようこそお出でくださいました。代官と騎士長がお待ちです。」


「どうも。よろしくお願いします。」

「本日はよろしくお願いいたします。」


ツカツカと通路を歩き、代官執務室に到着した。中には代官とアレクパパが待っていた。


「よく来てくれた。この度の働き、誠に大義であった。賞金の受け渡しや発表について相談したくて来てもらった次第だ。」


「ご配慮ありがとうございます。発表と言いますと?」


「うむ、この度の功績は絶大だ。本来なら大々的に発表し、表彰をしたいのだが……君はそれを望まないのだろう?」


「その通りです。賞金だけ欲しいです。」


金貸しをする際のネームバリューにいいかとも思ったが、やはりどう考えても面倒の方が多い気がする。その点母上なんかすごいよな。敵が多くて大変だったろうに。


「アレクサンドリーネ、お前はそれでいいのか?」


「ええ父上。カースのこんな所をもどかしくも感じますが、カースらしくて良いかと。」


「スパラッシュさんはどうなりますか? 村が欲しいと聞いてますが。」


「それは既に相談済みだ。表彰方法、与える村と地位、ともに確定している。君への賞金も同じ日に渡そうと思う。楽しみにしておいてくれたまえ。」


「ありがとうございます。ではこれにて失礼いたします。」

「失礼いたします。」


執務室を出ようとして思い出した。


「あ、忘れてました。偽勇者の首につけておいた循環阻止の首輪ですが、私のですので、また後日回収に伺いますね。それから、あいつが凄いのか鎧が高性能なのか分かりませんが、厄介な奴だと思います。何卒お気をつけください。」


代官府を出た私とアレク、そして鞄の中からニョロニョロ出てきたコーちゃんは連れ立ってタエ・アンティに向かった。馬車で送ってくれるとは言われたが、私が断った。


「コーちゃんは今日何が飲みたい?」


「ピュイピュイ」


たまには苦いコーヒーが飲みたいそうだ。違いの分かる精霊なんだな。


「私もコーヒーが飲みたいわ。カースが無茶ばかりするから甘い物を飲む気分じゃなくなっちゃった。」


「偶然だね。僕もコーヒーの気分だよ。」


疲れた時は甘い物が飲みたくなるのに、今日は苦味を感じたい気分だ。大人だったら酒をかっ喰らっていたのだろうか。不思議なほど気分が高揚しない。おかしいな、あれだけのことを成し遂げたのに。




タエ・アンティにて。


「ふぅ、何だか現実感がないよ。これでクタナツは平和になるのかな。」


「凄いことをやり過ぎると理解が及ばなくなるのかしらね。私としては表彰されて欲しくもあるけど、そうでなくて安心もしてるの。ミーハーな女どもがカースに群がるなんて考えただけでも許せないわ。」


「あははは、アレクにしては珍しいね。意外と可愛らしいことを言うじゃない。僕も春から君が心配だけどね。」


「だったらちゃんと会いに来てよね。それからあのお屋敷だけどメイドとか用意しておこうか?」


「あー、そうだね。じゃあ掃除に来てくれるだけでいいよ。食事とかはいらないから。」


何も考えてなかった。確かにあんな豪邸の掃除なんてやってられない。掃除魔法があるから一部屋十分以内で終わらせたとしても、うんざりするほどの部屋数だ。住み込みのハウスキーパーのようなイメージでいいかな。マリーのような凄腕メイドなんてそうそういないだろうし。


「任せておいて。いい人を見つけておくわ。」


「ピュイピュイ」


え? メイドは料理がうまくないとだめ?


「コーちゃんがね、料理の上手なメイドさんがいいんだって。」


「無茶言うわね。でも分かったわ。カースはお金に不自由してないでしょうから何とかするわ。」


こうして私達は和やかなひと時を過ごした。この歳で新居の話をするとは……

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