剣術バカ三人組
カースとハルバートが歩いて帰っている頃、道場では。
「さすがにクタナツのもんは強いのぉ。」
「ええ、若い上に素質がある者が多かったですね。」
「うちのカースだって中々だろ〜?」
「ふぉっふぉっふぉっ。この親バカめ。」
「カース君は迷いのない良い太刀筋でしたな。剣で大成するタイプではないですが、失敗することもなさそうです。」
「そりゃ仕方ないな。あいつ魔法は凄いからな。さてと、やるかジジイ?」
「おお、掛かってくるがいい。」
「では私は審判を。」
飲みに行くのかと思ったら稽古が始まった。
一対一だったり、一対一対一だったり。はたまた二対一だったり。
そんな剣術バカ達だった。
ちなみに『剣術で失敗する』とはいくつかパターンがある。
・己の腕を過信して決闘で死ぬ
・己の腕を過信して調子に乗って事件を起こす。大抵が奴隷落ち
・道場の経営に失敗して身売り、もしくは夜逃げ
・道場破りに破られる。これは経営の失敗に含まれる
などなど。
「ふぅ、アランよ。よく精進してしておるのぉ。だが、まだまだじゃ。ワシ程度に勝てんでどうする。ばかたれが。」
「うるせージジイ。また強くなりやがって! 俺が勝つまで生きとけばいいだろ。」
「そしてフェルナンドよ。何回聞かれても教えることなど無いわい。また強くなりおったな。目隠しでワシら二人に圧勝ではないか。」
「いや、まだまだですよ。自分の未熟さが嫌になります。」
「さすが兄貴。どこまでも強くなるんだろ? そろそろエルダーエボニーエントだって一撃じゃないか?」
「ふふっ、無茶言うな。まぁあれからいい剣も手に入れたからな。前回よりは善戦できそうだ。」
「さて、いい汗もかいた。今度こそ飲みに行くぞ。アラン、案内せい。」
こうしてカースの帰宅から遅れること二時間半、三人は夜の街に消えていった。どんな夜になるのだろうか。夜はまだ始まったばかりだ。




