武勇伝とミニスカート
七月も残りわずか。
そんなある日の放課後、私とアレクはファトナトゥールに来ている。
アレクのミニスカートを注文するためだ。まあミニと言っても膝上十センチ程度の予定だ。
「ふーん、その年で女の子にミニスカートを穿かせるのー。いい趣味してるのねー。」
ふふふ、自分が穿く趣味よりだいぶマシだろう。
別室での採寸が終わり、素材を渡す。
「エビルパイソンロードねー。ミニスカートにこれって贅沢と言うか無駄遣いと言うかー。すごい坊ちゃんねー。」
そんなことは分かっている。こんな防御も期待できない物に高級素材を使うなんて。でもアレクにはこれぐらいの素材でないと釣り合わないのだから仕方ない。
また、デザインはタイトにしてある。王都での流行りは短いプリーツスカートのように少しヒラヒラしているのだが。それよりはタイトな方がアレクには似合うに違いない。いずれ流行りのタイプも穿いてもらうつもりではある。
タイトではあるが、サイズ自動調節機能を応用し、伸縮しやすくなっている。これなら体育の授業にだって使える。
魔石を持ってなかったので高くついたが、きっといい出来になるに違いない。二週間後が楽しみだ。
ところで、ミニスカートには何を合わせるべきだろう?
ロングブーツ? ハイヒール?
そして上半身は?
まあ私が気にしなくてもアレクがいい感じにまとめるだろう。楽しみすぎる。
現在私達はタエ・アンティに来ている。アレクの奢りでコーヒーを飲んでいるところだ。
そこに店からのサービスとしてケーキが出された。南の大陸から新しい原料が入ったとかで試作品を作ったらしい。
チョコレートケーキだった。芳醇なカカオの味と香りが広がる、のはいいんだが苦い。砂糖も何も入れてないだろ。
「これ、まずくはないけど何か惜しいよね。」
「そうね。甘さが欲しいわね。」
コーヒーは苦くてもいいがチョコレートは甘くないと嫌だ。
「そうそう、今週末またスパラッシュさんとヘルデザ砂漠に行ってくるよ。ノヅチにはもう会いたくないなー。」
「やっぱり……大きかったの?」
「かなり大きいと思うよ。すぐ逃げたから正確には分からないけどね。でもノヅチが開けた大穴があるんだけど、湖にしてやったよ。涸れてないといいけどね。」
「ふふ、意味が分からないわ。カースったら滅茶苦茶したのね。」
軽く武勇伝を話してみた。あんな化物を目撃して生き残ったのだ。少しぐらい自慢したいんだ。
アレクとこんな話をするのも面白い。聞いてもらうだけだが。
今週末が楽しみだ。




