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お助けスパラッシュ

お、落ち着け。

落ち着くんだ。


今は昼だしゴーレムが近付いて来ればすぐ分かる。ゴーレムは鈍足だ。発見してから逃げても十分間に合うはずだ。


それよりは魔力の回復の心配をしよう。

幸いぴったりゼロになりはしたがマイナスになった感じはない。いつかの時のように意識が飛びそうなキツい感じはないのだ。


私は山頂に座り込み深呼吸をする。

眠り込んでしまうわけにはいかないが、なるべくリラックスして回復を図らねば。


目を閉じて瞑想をしようと思ったのだが……ゴブリンが来やがった!

あれだけ火球を使っても来なかったくせに!

しかも三匹! どこかで見た光景だ……


しかし今日は負けん!

木刀だってある! この前みたいに落とす危険はあるが、基本的に木刀は収納していないからな。


さあかかって来やがれ!


来ない……

ゴブリンはギャーギャー騒ぐだけだ。

何しに来たんだよ。

ならば、こちらから……




やはりゴブリンは弱かった。

二匹は首に横薙ぎ、残る一匹は喉に突きで終わった。魔石を取り出すのも面倒なので放っておいて瞑想の続きをする。


それから一時間、なぜかゴブリンとコボルトだけがやって来る。その度に木刀で相手をした。

結局倒したゴブリン二十三匹、コボルト十六匹。一度に来なくて助かった。




それにしても疲れた。雑魚ばかりで助かりはしたが……やはり実戦は違うな。


確か冒険者のマナーとしては魔石を取り出してから燃やす、もしくは埋めるべきらしい。


仕方ないので腹を開いて魔石を取り出す。

安物だけど刃物を持っていてよかった。

面倒くさいし血もくさい。




そんな時、何人か冒険者が遠くに見えてきた。

念のため魔力ポーションを取り出し飲んでおく。これぐらいは回復したのだ。


「あれ? マーティンの坊ちゃんじゃないですかい?」


「スパラッシュさん? お疲れ様です。」


「珍しい所でお会いしやしたね。こりゃ坊ちゃんの仕業ってわけですかい。さすがでさぁ。」


周囲にはゴブリンとコボルトの死体が多数、倒れたゴーレムが一匹だからな。


「いやーうっかり魔力が空になってしまってさ。仕方ないからゴブリン相手に時間を潰してたの。もう少しでゴーレムを収納できるぐらい回復するよ。」


本当はもう収納できるけど。


「坊ちゃん……こりゃあ何ゴーレムですかい?」


「え? スパラッシュさんが分からないなら僕にも分からないよ。銀にしては黒いよね。」


「黒い……銀…… もしかして『汚銀(けがれぎん)』?」


「え? 何それ?」


「グアッハッハ! 汚銀かよ! おめーツイてねーなぁ!」

「ギャハハ! 俺ぁ知ってるぜ! 骨折り損のくたびれ損って言うんだぜ!」

「新人だろー? 倒せただけマシってもんさ。褒めてやろうさ。」


「テメーら! 坊ちゃんに向かって何て口を!」


「まあまあスパラッシュさん。僕はもう帰りたいので、後始末をお願いできませんか? こいつらの魔石は差し上げますので。」


そう言いつつゴーレムとその魔石だけは収納した。


「へいっ! お任せください!」


「待ってくれよースパラッシュさーん。俺はヤだぜー」

「おおー、俺もだわ! 何で俺らがこんなガキの後始末をよー」

「新人のガキだろ? 疲れたんだろ? 帰らせてやろうさ。」


あら、それなら仕方ない。まあ当然かな。


「新人の分際で失礼しました。では自分でやりますね。」


「ぼ、坊ちゃん……申し訳ありません……あっしは今日も護衛なもんで……」


もしかしてスパラッシュさんって引っ張りだこ? 凄腕って話だしな。


「いえいえ、お気になさらずに。お気をつけてお帰りください。」



「新人のくせにスパラッシュさんに何言ってんだよ」

「何か勘違いしてやがんだろーぜ」

「お前らさー、新人だぜ? 優しくしてやれさー」


スパラッシュさん達四人は山を下りていった。そう言えば何しに登ってきたんだ?


あー面倒い。

あの四人に見られたもんだから放置して帰るわけにもいかないな。まあ魔力ポーションも飲んで半分ぐらい回復したし、全部燃やしてしまおう。





燃え尽きたのを確認して、念のため『高波』で消火。きっちり火を始末して帰ろう。

もう寄り道はしないぞ!

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