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御用だカース

憲兵隊員はギルドにて情報収集を行っていた。『劇斧のスメルニオフ』『ウエストコートの子供』について知ってる者はいないか。目撃情報はないか。


すると簡単に見つかった。


本人がいたのだ。

その子供は新人冒険者と言う割に黒い革パンツに白いシャツ、黒く古びたウエストコートを着ていた。




「君は『劇斧のスメルニオフ』を知ってるか?」


「名前はぴんと来ませんが、臭い男なら知ってます。」


「そいつはきみを殴ったか?」


「当たりはしませんでしたが殴ったようです。」


「そいつはギルドにいたはずなのに、いつの間に治療院にいたらしい。心当たりはあるか?」


「ありますよ。そもそも〜」


その子供は詳しく説明してくれたが、とても信じられない。自分を金貸しと言うことも、あの臭い大男に勝ったということも。


「君、本当のことを言ってくれないか? 私達は憲兵隊員なんだ。嘘をつくとお父さんとお母さんが酷い目に遭うかも知れないよ。」


するとその子供は平然と答えた。


「嘘だと思うなら魔法尋問すればいいでしょう? 憲兵隊ならその権限ぐらいありますよね。そもそも時間を割いて協力してあげてるのに両親が酷い目に遭うとは聞き捨てなりませんね。」


そう言ってその子供は懐から何か紙を取り出して私に見せた。


『一等金融士 カース・ド・マーティン

此の者、クタナツ代官レオポルドン・ド・アジャーニの名の下に金融業の営業を許可された者也。

尚、此の効力は一等金融士本人の逝去迄有効也。』


「何だこれは? こんな物まで用意して! 代官の名を騙るとは許し難い! 一等何とかなどと有りもしない職業まででっち上げるなんて!

ん……? マーティン? そうか君はマーティン卿のお子さんか!」


子供は安心したかの様な表情を見せる。

だが、そうはいかない。ならばこそ問題なのだ!


「だからこそ看過できない! 君はあのマーティン卿と聖女様のお子さんだろう! それがなぜこんな真似をする!? ご両親の顔に泥を塗るなんて!」


今度はあきれたような表情をする。


「お代官様の筆跡や印璽は私のような子供が偽造できる程度の代物ですか? なぜ本物かも知れないと思わないのですか? お代官様は現在バランタウンでしょう。副官に確認されてはいかがですか?」


この子は難しい言葉を使えばいいとでも思っているのか?

いくらマーティン卿のお子さんだとしてもこれは見過ごせない。私達はこの子を詰所に連行することに決めた。

この子も諦めたよう顔をしている。

初めから素直にしてればいいものを。私達は一人が詰所へ連行し、もう一人がマーティン家へ連絡に向かった。保護者に来てもらわなければ。こんな子が事件の鍵を握っているとは思えないが……


ここ最近のクタナツは問題が多く、我々憲兵隊が一般市民の取り締まりにまで駆り出されている。今回のような大事件にはもう少し人員が欲しいものだ……

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