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秘剣スライムソード

昼からは引き続き形稽古だ。ただし今度はプールで。

先ほど教わったことを踏まえてお互い注意し合いながらゆっくり型をなぞっていく。


「ねえカース君、さっきのあの技は何て言うの?」


「あの技? どのこと?」


「狼ごっこの最後にお兄さんの足に飛びついた技。ただぶつかったんじゃなくて技に見えたもんだからさ。」


「あー、あれは『タックル』って言うんだよ。本当は『押す』と『持ち上げる』を同時に行って相手を地面に倒す技なんだけどね。あれで奥が深い技なんだよ。」


「そっかー、迫力がすごかったから気になってね。騎士は素手でも負けられないよね。」


「素手と言えば校長先生から聞いたけど、ギルドの組合長は素手だとクタナツ一強いらしいよ。殴る蹴る以外に色々な技を使うとか。」


「へぇぇーすごいんだね! やっぱりクタナツって強い人だらけだよね。きっと校長先生も凄いんだろうね。」


「だよねー! うちの父上より強いらしいしね。僕らも頑張らないとね。」


プールに腰まで浸かって形稽古を行ったため、私達はもう足ガクガクだ。


「あっ! しまった! 僕らってさ、稽古の間に柔軟体操をやってない! 前後にも!」


「え? 何それ?」


「体ってね、鍛えると強く堅くなるよね。それで関節まで固くなってしまうと動きが悪くなってしまうんだよ。だから稽古の前後とか合間にはしっかり体を伸ばさないといけないんだ。疲れも取れやすくなるしね。」


「へぇぇー! そうなんだ! 知らなかった! さすがカース君、物知りなんだね。」


「と、言うわけでまずは入浴。体を少し暖めてから柔軟をしよう。後で乾かすからこのまま入ってしまおうよ。」


そう言って私はプールに火球を入れて温度を上げる。やはり沸かしすぎた。『水滴(みなしずく)』で調整する。自分の風呂ならバッチリなのに。


私は上半身だけ脱ぐ。スティード君もそうした。


「友と汗を流して昼からお風呂、青春だね。」

「全くだね。未だに青春がよく分からないけど青春だね。」


さて、服を乾かして柔軟だ。

今日は最初なので小学生が体育でやる程度でいいだろう。わずか十五分に満たないお手軽ストレッチだ。


「こんな感じて色々動かしておくと怪我もしにくくなるよ。他にもたくさんあるから追い追いやっていこう。」


さあ次の稽古は何だ?


「次は互格稽古だよ。お互いゆっくり対戦しながら弱点を無くしていこう。」


なるほど、いわゆる乱取りだな。


「使うのはこれ、スライムソード。これなら当たっても痛くないんだよね。」


これは何だ? スライムなのか?

それともそういう名前のおもちゃなのか?

まあいい、新聞ソードみたいなものだろう。


「カース君、右の脇腹に隙が大きいよ。」

「踏み込みが甘い、もっと思い切って踏み込んでおいで。」

「動く時に足を高く上げてしまうと隙が大きくなるよ。」


スティード君はすごい!

私も何か言ってあげたいが全然分からない。教えてもらってばかりで申し訳ないな。


こんな稽古が夕方まで続けられた。

足もガクガクだが腕もダルダルだ。このまま風呂に入って柔軟をしよう。

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