表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
173/1075

アレクサンドリーネとギルド

春休み三日目。

今日はアレク宅を訪ねよう。さすがに歩きでは行きにくいのでマリーに馬車で送ってもらった。

あー、気分が悪い。マリーには悪いがやはり馬車は嫌いだ。


門番の人に挨拶するのはマリーの仕事だ。

あっさり正門が開かれる。

朝から申し訳ない。

そして馬車ごと中に入ると、アレクが飛び出して来た。あれはパジャマか? まったく可愛い奴だ。


「カース! よく来たわね! 昨日会えなくてガッカリなんてことないんだから!」


「おはよう。昨日は悪かったね。スティード君ちに居たんだよ。慌てて飛び出したものだから行き先を言ってなかったみたいでね。」


「昨日行ったのはギルドの仕事を一緒にしようと思ったからよ! 今日は一緒に行けるのよね?」


「いいよ。一緒に行こう。せっかくだからギルドまで馬車で行こうか。用意しておいでよ。待ってるから。」


そしてアレクは急いで家に入っていった。

入れ替わるようにアルベルティーヌ様が出てきた。


「おはようございます。朝から押しかけてしまいまして申し訳ありません。」


「おはよう。よく来てくれたわ。聞いているのでしょう? 私のことはお義母さんと呼んで欲しいわ。」


「え、ええ、そのことはおいおいと前向きに善処を重ねて検討する案件かと考える次第でありますので……」


「あらあら官僚にでもなるのかしら? そんな難しいことを言われると困ってしまうわ?」


「あははは、僕も難しいことはよく分かりません。それよりなぜ彼女に冒険者になる許可を出したのですか? いいんですか?」


「貴族にとって娘は大事な政略結婚の駒、最高の相手に嫁がせる必要があるわ。今回はその相手があなたってだけの話よ。それともアレックスが要らないとでも言うつもり?」


くっ、ぐいぐい攻め込まれてしまう。

全て正論なのか? 許可を出した理由を聞いているのに反論できない。


「悔しいですが私はアレクサンドリーネさんに惚れてしまいました。必要です。以前騎士長様には欲しくなったらクタナツを更地にしてでも拐うとお伝えしましたが、欲しくなってしまいました。」


「それならいいじゃない。わざわざ更地にしなくても、欲しいならあげるわ。持って行きなさいな。あぁ、それから騎士長じゃなくてお義父(とう)さんと呼ぶといいわよ。」


おかしい。何か乗せられている気がする。

しかし反論の余地がない。


「待たせたわね。行くわよ!」


助かった。ここは逃げるに限る。


「じゃあ母上、行ってくるわね。カースが一緒なんだから心配はいらないわよ。」


「行ってらっしゃい。帰ってこなくてもいいわよ。」


お泊りをしろとでも言いたいのか?

それとも……


「じゃあマリー、ギルドまで頼むよ。」


「かしこまりました。」


しかし馬車でギルドに行くなんて……

まあいいか。そんなことで文句を言う器の小さい先輩なんていないだろうし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
i00000
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ