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十月十一日、昼

同日の昼。サイクロプスの咆哮のリーダー、ビダッシュとシードナは同じベッドで目を覚ました。

朝方、ギルドから宿に帰り電池が切れたように寝ていたのだ。


「まだ昼か…… シードナ、ギルドに行ってこい。あいつらの情報を集めてくるんだ。」


「えー、嫌よ。それよりもさー、ね?」


「うるせー! それは後だ! 俺はエリッツとディザストを起こすからお前はギルドに行けって言ってんだ!」


「何ビクビクしてんのよ? アンタらしくもない。」


「心配とビビりは違うんだぜー。いい子だから行ってくれるか?」


「ふん、行けばいいんでしょ!」


シードナを送り出したビダッシュは行動を起こす。すぐさま他のメンバーを起こし自室に呼ぶ。


「お前ら分かってんな? あいつらは生きている。だがビビることはねーぞ。堂々としてろー。で、今回の依頼だがまだ時間はある。今夜出るぞ。」


「ええっ? 今夜? それは無茶だろ!?」


「落ち着けエリッツ。今夜は外に出ていないとまずいということか?」


「さすがディザスト。分かってるじゃねーか。そうだよ、今夜はまずい。というか、しばらくはクタナツに戻らねー。依頼にかこつけて日没までには出るぜー。」


「そんな!? どうするんだよ!?」


「だから落ち着け。二度と戻らないわけでも逃亡するわけでもない。俺達は依頼に行くんだ。それで予想より大幅に時間がかかってしまうだけの話だ。」


「そ、そうか。じゃあ準備しとけばいいんだな?」


「そうだ。シードナが戻り次第出るからよー。宿には適度に荷物を残しておけよー。すぐ戻るつもりだと思わせないとなー。」


平均年齢十七歳、まだ十等星であるにも関わらずこの判断の早さはクタナツ男の特徴と言っていいだろう。惜しむらくはその頭脳とプライドの高さに実力が伴ってないことだろうか。

彼等は小さい頃からクタナツで育ち多くの冒険者を見てきた。そして王国で成人とされる十五歳を待ってギルドに登録をした。

同年に登録した者は全て同期となるが、五つも歳下、学校を卒業したばかりの青二才が同期だなどと認める気はなかった。

放っておけばすぐにくたばると思っていたら、あれよあれよと言う間に頭角を現して同期のトップと目されている。

しかも上手いこと先輩に取り入ったらしく可愛がられている。聞けば上級貴族と下級貴族がメンバーにいるらしい。合点がいった。

ビダッシュの苛立ちは止まらない……機会があれば潰してやるつもりだった。


今回『擦りつけ』を行ったのは偶然だ。

たまたま小耳に挟んだため、近くにいるであろうとは思っていたが。

その時は逃げるのに精一杯でそんなことまで考える余裕はなかったのだ。


下手を打ったのは仕方ない。メンバーの手前何事もなかったかのように振舞っているが、相手は貴族だ。

何をしてくるか分からない。ギルドへ報告の義務は果たした。詳しくは説明してないが聞かれてないのだから構わない。

このままクタナツを出てしばらく他の街を拠点に活動し、記憶が薄れた頃に戻る。

そうすれば尋問を受けたとしても覚えてないで済ませることもできる。

魔法尋問を受けるほどの罪は犯してないのできっと問題ない。

我ながら完璧な計画だとビダッシュはほくそ笑むのだった。

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