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十月十日、午後

ベレンガリア達がクタナツを目指して走っている頃、擦りつけを行った『サイクロプスの咆哮』はメンバー同士で揉めていた。


「どうするんだよ! あいつら死んじまうぞ!」


メンバーの一人、エリッツが怒鳴る。


「うるぜーぞ。やっちまったもんは仕方ねー。魔境で冒険者が死ぬなんて珍しくもねーんだ。別に俺らが殺したわけでもねー。」


リーダーのビダッシュは何事も無かったかのように言い放つ。


「そうよ。それにあいつらだってきっと逃げてるわ。死んだとしても逃げ切れなかったあいつらが悪いだけよ。」


紅一点、シードナもビダッシュに追従する。


「俺達に悪意はない。たまたま逃げた先にあいつらがいただけだ。そうだよな、エリッツ?」


最年長のディザストもそう発言する。


「お、おう……じゃあこのまま予定通り野営して明日の昼ぐらいに帰るのか?」


「いや、あいつらが死んでようが生きてようがクタナツに情報が行くのは早ければ明日の昼だ。だからそれより早く帰っておきてー。」


「さすがビダッシュね。頼りになるわ。」


「そうなると今夜は夜通し歩いて城門付近で野営だな?」


「そうだ。そして朝一でギルドに顔を出す。面倒だが報告しておかねーとな。

俺達は無我夢中でトロルから逃げた。その途中であいつらがいた。俺達は目で助けを求め、あいつらも目で答えてくれた……これでいくからよー。」


「あぁーんビダッシュったら。痺れるぐらい頭が切れるわぁ。惚れ直しそうよ。」


「お、おう。そうだよな。目で助けを求めたよな……」


「エリッツ、堂々としてろ。俺達はあいつらに何も攻撃などしていない。後ろ暗いことなど何もない。」


「ディザスト……そうだよな。俺達は悪くないよな。」


クタナツに向かって夜通し歩く彼らと、カースの救出に向かうフェルナンド達がすれ違うことはなかった。それは彼らにとって幸運だったと言えるのだろうか。

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