表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界金融【改】 〜元教師は転生したら働かなくてもいいように無双する〜  作者: 暮伊豆
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1068/1075

イチャつく両親

アランの猛攻の前にサンドスライムはその姿を維持することができず、段々と小さくなっていった。体を構成する砂が吹き飛ばされたためだ。


そしていつしか直径は一メイルに満たないサイズへと変貌した。ここでアランが魔法を止めたらまた元通りになってしまうことだろう。間髪入れず飛斬を撃ち続け、ついに魔石を両断することに成功した。


「やったぜー! さすがマーティンさんだー!」

「サンドスライムだぜ!? 普通逃げるよなぁ!?」

「逃げ切れるもんならな? あいつぁ厄介な奴だぜ?」

「何にしてもマーティンさんが生き残ったんだ! 魔女様に酌をしてもらえるぜ!」


「おし、ちょっと休憩したらさっさと逃げるぜ! また出たら堪んねーからよ。」


「旦那一人ぐれー俺らが運んでやんよ!」『浮身』


「おお、こいつはすまねぇな。助かるぜ。」


どうやら彼らは無事にグラスクリーク入江まで戻ることができそうだ。





ふう。もう真夜中を過ぎたぐらいかな。あれから断続的に魔物がやって来て大変だった。私の魔力も残り一割五分を切った。このペースなら朝まで撃ち続けても一割を少し下回るぐらいで済みそうだ。


「アラン! アラン! 無事なのね!」

「イザベル! 帰ってきたぜ!」


おお、父上が帰ってきた。警備に出てたんだよな。いやー無事でよかった。心配してなかったけど。父上だしね。それにしても母上ったら。さっきまで冷静に「右よ」「左に五匹」「先に後のオーガを仕止めて」なんて指示を出してた声と全然違うじゃないか。公衆の面前で誰憚かることなく抱き合ってるし。あーあ熱い熱い。まだ魔物は来てるってのにさー。見てらんないよ。『氷弾』上から襲ってきたオオガラスを撃ち落としておいた。戦場のど真ん中で油断しないでくれよなー。


「おう、カースも来てたのか。いい時に来たもんだぜ。お駄賃だ。こいつをやるよ。」


「これは、何の魔石?」


半分に割れてるな。片方で二キロムってとこかな。


「サンドスライムだ。厄介だったぜ? まあ俺にかかれば一撃だけどな。」


「すごい! さすが父上! かっこいい!」


サンドスライムか。遭ったことはないな。砂の塊のくせにスライムのように移動して、出会うに任せて魔物だろうが人間だろうが全部取り込んでしまうタチの悪いスライムだ。しかも砂の圧力でぐちゃぐちゃに潰してから消化するとか。まあタチのいいスライムなんてほとんどいないけどさ。魔法をほとんど使えない父上がよく倒したもんだ。一撃か、すごいな。

それにしても父上、ちょっと前まで自分のことを私って呼んでたくせに。最近は地が出てるのかな? でも昔からフェルナンド先生の前では俺だったな。どっちでもいいけど。

それを言うと私なんかアレクや友人達の前では僕で、えらい人の前では私。冒険者たちの前では俺か。案外自然に使い分けできてるもんだな。心の中では私なのに。


「父上おかえり! やっぱり無事だね。」


「おうオディロン。お前もがんばってるな。だいぶ魔力減ってんじゃないか。無理するなよ?」


「うん。ぼちぼちやるよ。」


オディ兄は心配してたのかな? そう見えなくもないな。家族仲良しってのはいいもんだ。


「アラン! やるわよ!」

「おう! 任せとけ!」


母上はよほど嬉しかったのか魔物の群れに突っ込んでいった。後ろから父上が追随している。みんなの連携を無視するのは良くないな。仕方ない。私も上からフォローしよう。


「ちょっと行ってくるね。」


「うん。母上がハイになってるから巻き込まれないようにな。」


オディ兄から見てもそうか。母上がハイになっている。珍しい。



上から見てて分かったことは、母上は一切後ろを見ていない。前しか見ていないのだ。真後ろや斜め後ろは父上が完璧にフォローすると信じている。そして父上もその通りに行動している。最強夫婦かよ。母上は風斬しか使っていないし、父上だって木刀だ。なのに歩くだけで魔物が次々と倒れ伏していく。



およそ二十分後。母上は満足したのか陣営に戻ってきた。


「ごめんなさいね、リードルーダ様。ちょっと我を忘れてしまったわ。」


「はは、聖女様でもそのようなことがおありとは。長生きはするものですな。おかげであそこら一帯の魔物密度がスカスカになってしまった。別に全滅させてくださっても良いのですぞ?」


「ご冗談を。そこまで魔力が持ちませんわ。」


母上は服を真っ赤に染めていた。どれだけの魔物を仕止めたことか。背中はきれいなものだけど。そこにオディ兄がやって来て、すかさず綺麗にしていた。母上もすっきりとした顔をしている。


「イザベル様。惚れ惚れしますわ。相変わらずですわね?」


「まあシメーヌ様こそ。開始から一歩も退いてないじゃありませんか。お見事ですわ。」


「やっぱりイザベル様はすごいですわね? かっこよかったですわ。」


「まあセリーナ様ったら! 照れてしまいますわ。」


あの三人は仲良いよな。ただのママ友ってだけじゃないのかな。何にしてもこのままいけばどうにか収束しそうだな。ヤバそうなボスも現れてないし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
i00000
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ