カースは思い立つ
家に帰ったら早速魔力庫の実験をする。
きっと他の子達も同じことをしているのだろう。
まずは庭にあるものを入れてみよう。
使い方はバッチリ理解できているので、確認だ。
・手や足が触れていれば収納することができる。
・木材は収納できるが、生えている木は収納できない。切り落とした枝や切り倒した木は収納できる。
・重い岩でも鉄の塊でも収納できる。ただし地面に固定されてないことが条件、埋まっている部分が一割未満なら収納できる。
・動いているものは収納できない。例えば落ちてくる石をそのまま収納することはできない。
・容量は25mプールを上に十個重ねたぐらい、重量的にはそれが全て鉄だったとしても収納できる。しかし長辺が25mを超えるような物は収納できない。
・生物が触れているものは収納できない。例えば真剣白刃取りをしたとしてもその刀のみを収納することはできない。
・内部をフォルダ分けすることはできないが、内部の物同士は干渉しない。血だらけの死体を入れても他の物が汚れることはない。
・何が収納されているか分かるが、並び替えやサーチはできない。大量に物を収納してしまったら取り出すのがかなり面倒なことになる。
・一定の形を持たない物を入れることはできない。水や砂などは入れ物に入れてからでないと収納できない。
中々複雑なような気もするが、すぐ慣れるだろう。慌てて何かを収納することもそうそうないだろうし。
しかしこれがあれば盗み放題だが、きっと何らかの対策はあるのだろう。するつもりもないが。
まずないとは思うが、魔剣や聖剣などは収納できるのだろうか?
剣自体が魔力を持っていそうだ。そんなものを収納して入れ替わってしまったら恐ろしい。
それにしてもたくさんの魔法を覚えたものだ。楽器を弾く要領で何でも覚えられるという話だったが、明らかに楽器より簡単に覚えてしまっている。
基礎の基礎から母上に厳しく叩き込まれたからなのだろう。やはりどんな世界でも『親の言うこととナスビの花は万に一つも徒がない』と言うことだ。
最近ではもう循環阻害の首輪が役に立たなくなっている。より強力な物をおねだりするべきか、いやしかしもう一生分の誕生日プレゼントを貰ってしまったため言いにくい。金策が必要か……
それより魔力庫の活用方法だ。
まずはいつでも暖かい風呂に入れる!
さすがに空中風呂はまだまだ無理だが、景色のいい場所に移動してから落ち着いて入ることはできそうだ。
甘いホットミルクも大量に保存できる。
風呂のお湯は少しずつ汚れていくだろうから何か浄水できる魔法を覚える必要はあるな。
まあ新しい水で沸かし直せばいいだけではあるが面倒だ。
ところで最近キアラが私の露天風呂に興味を示している。入りたそうな顔をしているが絶対だめだ。レディが野外で裸になるなんて認められる訳がない。
いや待てよ?
もうすぐ夏だ。つまりプールだ。すなわち水泳だ。
泳ぎを教えておかないとかわいいキアラが溺れてしまうことがあるかも知れない……
そうだプールを作ろう。
風呂は魔力庫にしまい込んで、新しい大きなプールを作るんだ。そしてキアラに着衣水泳を教えるんだ!
まずは材料に拘るぞ!