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異世界金融【改】 〜元教師は転生したら働かなくてもいいように無双する〜  作者: 暮伊豆
第三章

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組合長と……

さて、娼館なんて行ったことない上に領都は広い。こんな時は辻馬車が一番だ。


「おお馬車かぁ? 揺らすんじゃねぇぞぉ?」


「贅沢言うな。」


「ああ? 何じゃあこらぁ!?」


いかん、つい本音が。


「はーい、おじいちゃん乗って乗って。」


「誰がジジイじゃこらぁ!」


いかんいかん、また本音が。私だって結構飲んだからな。


「狭ぇじゃねぇか! 空飛べやぁ!」


「街中を飛ぶのはマナー違反じゃないですか。」


狭い空間にオッさんと二人。酒臭い。浄化を使い続けよう。




「着きましたぜ。馬車はここまででさぁ」


「はいどーも。」


代金を払い組合長を馬車から引きずり落とす。自分で立てよな。


さて女羽媧楼ってどこだ?


「組合長、店はどっちですか?」


「あぁ? 忘れたぜぇ久しく来てねぇからよぉ。」


「へへ、だーんな? ゴキゲンですかい? 今夜のお目当てはお決まりで?」


いきなり変な奴が話しかけてきた。これもお約束ってとこか。


「女羽媧楼だな。このオッさんを連れてってやってくれ。これで足りるな?」


銀貨一枚ぐらいくれてやらないとな。


「おや? 旦那は行かれないんで? あそこはこの世の天国ですぜ? その分値段も天国ですがねぇ?」


「この服装を見て俺を知らないのか?」


自分で言うのも恥ずかしいがね。


「そりゃあ野暮ってもんですぜ? ここから先に身分や立場を持ち込もうだなんてねぇ? どこのどなた様だろうとここに入れば一人の雄でさぁ。さあさあ嫌なこと忘れて楽しんでってくださいよ?」


私はアレク一筋ってことをアピールしたかったんだがな。まあいいや。


「じゃあ後は頼むな。俺は帰る。じゃあ組合長、クタナツに帰る時は声かけてください。タイミングが良かったら乗せて行きますんで。」


「おお、せっかく奢ってやるってのによぉ。バカな奴だぜ。二、三日ぁここにおるからよぉ。」


「じゃあまた。」


やれやれ。やっと帰れる。もう歩くのもキツくなってきたんだよな。無痛狂心が切れたらどんだけの痛みに襲われるんだよ……早く帰って風呂入って寝よう……





翌朝、私は激痛と共に目が覚めた。くっそ……痛すぎる……


『無痛狂心』


ふう……だめだこりゃ。

朝から風呂だな。そしてまた寝よう。


「ガウガウ」


散歩行きたいって? 行ってこいよ。くれぐれも人間を噛むなよ。


「ピュイピュイ」


コーちゃんは私を癒してくれるって? ありがたい。さすがコーちゃん。さあ風呂に行こうね。




軽い朝食を終え再び横になる。腹の上ではコーちゃんがとぐろを巻いている。コーちゃんは頼りになるなあ。


『快眠』


ぐうぐう。




再び激痛で目を覚ましたら夕方だった。くそ、朝とあまり変化がない。痛すぎる……もしかしてアレクも同じ痛みを味わっているのではないか?

いかん、私は自分のことばかりでアレクの心配をしていなかった。今週はもうずっと領都にいるつもりなので、朝晩アレクに魔法をかけることは可能。すぐに行こう。




向かう最中すでにアレクに『伝言(つてごと)』を飛ばす。


そして校門前に到着。いた! アレクだ!


「カース! 来てくれてありがとう!」


しかし、いつものように飛びついてはこない。アレクも全身が痛いのだろう。




「と、言うわけで痛みを感じなくなる魔法をかけに来たよ。眠れないぐらい痛かったんじゃないの?」


「ありがとうカース。体は動かないけど痛みはそこまでではないわ。薬を飲んだから。波符亜燐(ばふありん)をね。」


あー、鎮痛剤か。その手もあるよな。普段薬系はさっぱり飲まないから思いもよらなかったよ。


「その分ならそこまで心配しなくてもよさそうだね。でもせっかく来たからかけておくね。」


『無痛狂心』


「あ、すごいわ……全然痛くない。初めて聞く魔法だわ。」


「母上に習ったんだよ。禁術なんだって。」


「禁術……気になってたんだけどお義母様ってどこで覚えられたのかしら? 宮廷魔導士をされていたった話は聞かないし……」


「確かにそれは不思議だね。今度聞いてみるよ。」


教えてくれることが本当とは限らないのが母上の厄介なところなんだよな。でも確かにどうやって覚えたんだろうか。


「案外普通にゼマティスのおじいちゃんから習ったってとこかもね。むしろ禁術よりヤバい魔法とか知ってそうだし。」


「それもそうね。じゃあカース。来てくれてありがとう。来週末を楽しみにしてるわ。」


アレクはそう言って私の唇を奪った。校門前だってのに悪い子だ。


「うん、またね。」


帰って寝よう。眠くはないけどとにかく休まないとな。




こうして私は今週末まで休み続けた。

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