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異世界金融【改】 〜元教師は転生したら働かなくてもいいように無双する〜  作者: 暮伊豆
第三章

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ダミアンの策謀

すっかり日が暮れてしまったので、私が光源の魔法を使っている。うん、アレクの胸元が真紅に輝いている。眩しいぐらいだ。


『よーしお前ら! 今日はよく来てくれたな! そろそろ時間だ! 最後にアレクサンドリーネの挨拶だ! 静かに聴けよ!』


アレクは会場の中央辺りに移動し、少し浮身を使った。


『領都の皆様、本日は私の成人祝いにお越しいただきましてありがとうございます。また、数々のお品までいただきまことに感謝しております。ご存知とは思いますが、あと三ヶ月もすれば私も卒業です。領都での思い出は楽しいものから辛いものまで数多くありますが、今日という日を私は忘れないでしょう。

それから、私の卒業に合わせて魔王カースと旅に出ます。最初の目的地が北の山岳地帯ということ以外決まっておりませんが、またこうして皆様にお会いできる日を楽しみにしております。それまでどうかお元気でお過ごしください。本日はありがとうございました!』


そう言って艶やかに一礼するアレク。会場はやはり拍手喝采だ。


「うおおーアレクサンドリーネ様ぁー!」

「無事に帰ってきてくれええええー!」

「魔王死ねえええーー!」

「行かないでくれええー!」

「アレクサンドリーネちゃんフォーエバーラーブ!」


……盛り上がってるから良しとするか……


『闇雲』


おっ、何だ?


「ぬおおおおおーーー!」

「マジかあああーーー!」

「アレクサンドリーネちゃんマジ女神!」

「きれいすぎるううううーーー!」

「眩しくて見れねええええーーー!」


一瞬の暗転の間にアレクは換装を使ったのか。ドレスからドラゴンのウエストコートにミニスカートスタイルに着替えていた。サービスいいじゃないか。魅惑の生足に会場は熱狂している。すごいぞアレク。

そして平然と私の所へ戻ってきて、何食わぬ顔で酒を呷った。今日のアレクは一挙手一投足が艶かしい。大人になったからか?


『そんじゃあ今日の祭りはお開きだぁー! またやるからよぉー! お前ら次も絶対来いよぉーー!』


これが次期辺境伯の挨拶かよ……領主と領民、こんな関係があってもいいかもな。




あ、そういえば気になってたことを思い出したぞ。


「ダミアンさあ、兄貴にスマートに復讐するって話じゃなかったっけ?」


「おお、あの件か。きっちり仕込んでるぜ?」


「おっ、やるなぁ。いつの間に?」


「子供武闘会の後さ。ちょっとした家族会議があってよぉ。まあ主な議題は例のトンネルだな。ルートをどうするとか、誰が指揮するとかな。」


「ふんふん、それで?」


「どこから開始しようが問題となるのは魔物だ。なんせムリーマ山脈だからよぉ。そうなると冒険者の出番だわな。うちの騎士団にぁそこまでの余裕はねぇからよ。」


「そりゃそうだな。」


騎士団はこの前の襲撃で何割か死んだって話だしな。魔物から職人を守るにしてもその場で働くにしても冒険者の手は必要だろう。


「それはドストエフ兄貴が指揮をするってことでほぼ確定だ。当然兄貴もそのつもりだったんだろうぜ。いち早く冒険者を集めようとしてやがってな。ところがだ、こっちにぁバーンズがいるからよぉ。あいつには冒険者の取りまとめをすでに頼んでるってわけよぉ。クタナツの一流どころをな。」


「なるほどな。ムリーマ山脈だもんな。数も必要だが質が伴ってなけりゃあ話にならんわな。だからゴモリエールさんも領都に来てたのか。」


「たぶんそうだぜ。つーわけだ。おめーも領都にいる間は少しは手伝ってくれや。それまでにスタートすればの話だがな。」


今の話には少し疑念が残るな……


「オメー、兄貴がみすみす失敗するのを見逃すつもりか?」


「なんだ? ことさら足を引っ張る気はねぇが手柄を譲る気はねぇぞ? それよりおめーが心配してんのは兄貴に雇われるであろう冒険者だろ?」


そこまで分かるのかよ……


「そうだよ。オメーの兄貴が失敗するのは構わんがな。その時、その場にいた冒険者は全滅しかねないだろ? それを見過ごすオメーとは思えんぞ?」


「へっ、見損なうなよ? フランティアの人間はいずれ全員俺の領民になるんだからよぉ。俺に敵対でもしねぇ限り助けるつもりだぜ? 兄貴に勝つためにもな。」


「それならいい。くれぐれも、オメーらしくないことするんじゃないぞ?」


「おおよ。辺境伯になるためにゃあ時に非情な選択をすることもあるだろうよ。なってからもなぁ。だが、だからこそ平時での判断が大事なんだよ。俺ぁ、そこを間違えるつもりはねぇ。」


「まあ頑張れや。俺に難しいことは分からんからな。期待してるわ。」


「おうよ! だからお前もぜってぇ無事に帰ってこいよ? このフランティアによぉ。」


「たぶんな。ここには俺んちがあるからな。」


イグドラシルに登るだけで何年かかるんだろうな……途中で諦める可能性も高いし。イグドラシルと言えばフェルナンド先生も気になる。先生ならもう登頂していてもおかしくないが。

何にしても、もう帰ろう。帰ってアレクと二人だけの時間を過ごすんだ。明日は一日中何の予定もないし。

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