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チートなサムライ二人目21


「――――」


 五十階層。


 ボスフロア。


 クロウたちは初めてだ。


 一人イズミが、


「然程でもなかったな」


 と経験者。


 現われたのは魔術師。


 正確には錬金術師。


「あー……」


 とイズミ。


「知っているので?」


「アルケミストだ」


「アルケミスト……」


「錬金術師」


「錬金術ですか?」


「さいだ」


 一息。


「とりあえず」


 とイズミはアイナを見やる。


「障壁張って下がってろ」


「承りました」


 魔術障壁の展開。


 同時に火炎が一同を襲った。


「魔術師……」


 クロウの感想。


 それも生半なレベルでは無い。


 それはアイナにもローズにもいえるのだが。


 クロウとアイナとローズは障壁で火炎を防いでいた。


 一人立っているイズミは、


「酸素がなぁ」


 と平常モード。


 アンチマジック。


 その効果だ。


 少なくとも、魔術でイズミを害することは叶わない。


 であれば相性は抜群だ。


 五十階層のボス。


 アルケミスト。


 その根幹が魔術である以上、


「アンチマジックは突破できない」


 に終始する。


「――――」


 次々と魔術を行使するボスモンスター。


 が、イズミは飄々としたものだ。


「何処まで怪物なんでしょう?」


 率直なクロウの感想。


「まぁSランクの冒険者ですし」


 アイナの論評は妥当ではあった。


「――――」


 間合いを詰められると、錬金術師は全身を黄金に変えた。


「有りですか?」


「知りませんよぅ」


 アイナとクロウの会話。


 というか、金属さえ切り裂くイズミの剣にとって、黄金は障子の紙も同じだろうが。


 呼吸さえ見切れば難しい事でも無い。


「――――」


 黄金化したアルケミストが襲いかかる。


 キキンと金属の弾く音。


 呼吸を整えているのだろう。


 その程度はクロウの常識だ。


 アイナとローズは知り得ない極致だが。


 丁々発止。


 丁々発止。


「見切った」


 ポツリとクロウが呟いた。


 黄金の呼吸を捉えたのだ。


 それはイズミも同じだ。


「…………」


 スッと予備動作もなく剣が振るわれる。


「っ」


 ゾクッとクロウを寒気が襲う。


 静謐の剣。


 その起こりが感じられないのは驚異に値する。


 最難関ダンジョン……リンボ。


 その五十階層のボスより、イズミの方が恐ろしかった。


「あの剣と模擬戦を?」


 そう思うと、多少は不安になる。


 イズミの剣は、容易く黄金を切り裂く。


 無音の剣。


 なお変幻自在。


 寸刻みにされるのだった。


「うーあー」


 と他に言い様もないアイナ。


「凄いです……」


 率直に賞賛するローズ。


「だね」


 クロウにも異存はなかった。


 こうして五十階層は踏破されたのだった。


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