チートなサムライ二人目17
次の日。
クロウたちはギルドに顔を出した。
ざわめかれる。
「有名人だな」
「イズミが言いますか」
実際に四人が四人とも常軌を逸している。
責められることでもないが。
アイナがクエスト受注に向かった。
クロウとローズとイズミは、席に座ってソフトドリンク。
「リンボで良いのか?」
端的なイズミの疑問。
「アイナ次第ですね」
クロウはサックリと言った。
そこに、
「何時ものことですけど」
と唐突なクロウの言。
「?」
首を傾げるローズ。
イズミは既に悟っている。
ガラの悪い冒険者の絡みだ。
「お前らがAランクのダンジョンか?」
ドスの利いた……そう言える声。
四人が四人共に幼いのだからしょうがない。
だが、ざわめきはクロウたちを味方した。
クロウにしろイズミにしろSランク相応だ。
「何を考えているんだあの馬鹿は」
そんな風評被害。
それが燃料となって着火する。
「表に出ろ」
「嫌」
チョコレートを飲みながら爽やかにクロウ。
冒険者はキッとイズミを睨む。
「俺は構わんが……」
幼女でありながら俺様態度。
なお平然とするのはサムライの業だろう。
「頑張ってね」
ヒラヒラと手を振るクロウ。
「大丈夫……ですか……?」
ローズの心配性。
「これでもSランクだからな」
苦笑するイズミだった。
「そんななりでよくもまぁ」
とは冒険者。
「SランクどころかAランクも怪しい」
そう言ってのける。
「ちなみにおっさんのランクは?」
「Bだ。とはいえもうすぐAだがな」
誇らしげだが、
「…………」
「…………」
「…………」
三人は可哀想な物を見る眼になった。
「何が悪い!」
「頭が」
ぬけぬけと言ったのはイズミだ。
「叩きのめしてやる……っ」
「お手柔らかに」
そしてイズミと冒険者は表に出た。
「何が起きたので?」
クエストを受注して戻ってきたアイナは、
「はて?」
と視線でイズミの背中を追う。
「良くあるトラブルです」
それで片付けるのも、
「如何な物か?」
ではあるのだが。
「それでクエストは?」
「魔金属の蒐集ですね」
「魔金属……」
「ま、適当に潜れば手に入りますし」
ワッと店外から喝采が為った。
「あー……やれやれ」
片手剣を鞘に収めながら疲れた様子のイズミが戻ってくる。
「御苦労様」
「せめてクロウのレベルなら一にも二にもだが」
「そこはまぁ諦めてください」
「だよなぁ」
チラリとクロウを見やる。
「肩慣らしにも為らんな」
「業の深い」
「その通りではあるんだが」
「後は斬り捨てる材料ですか」
「だな」
苦笑。
「で、クエストは?」
「魔金属の蒐集です」
「場所は?」
「リンボ」
軽やかにアイナは言ってのけた。
「あう……」
とローズ。
「それだけか?」
「ま、別に手に入れたモノはギルドで買い取ってもらいましょう」
「妥当だな」
「そーかなー?」
心中呟くクロウだった。




