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チートなサムライ二人目14


「アイナ。お茶です」


「ありがとうございますクロウ様」


「ローズも」


「ありがとう……」


「イズミは?」


「いる」


「では」


 差し出す。


 そして自前を用意して茶を飲むクロウ。


「何時もこんな感じか?」


 イズミが問う。


「大凡は」


 だいたい書類整理と魔術の研鑽。


 クロウの場合は剣術の研鑽だが。


「じゃあ少し仕掛けて良いか?」


「構いませんが」


 言われて紅茶を飲みながらイズミはクロウに仕掛ける。


 刺突。


 躱される。


 クロウが弾いて、剣閃を奔らせる。


 一瞬で軌道修正したイズミの剣がそれを弾く。


「…………」


 クロウは淡々と紅茶を飲んだ。


「イメージでやっても勝てる気がしねえな」


 イズミも紅茶を飲んでいる。


「諦めは?」


「もう少し付き合ってくれ」


「否やはありませんが……」


 今度はクロウから仕掛けた。


 フェイント二回。


 ぶれたイズミの剣を叩く。


「おお」


 驚くイズミだった。


「何をしているので?」


 書類から目を離して、アイナがジト目で。


「剣の鍛錬です」


「ていうか殺し合い?」


 二人揃って意味不明。


 淡々と紅茶を飲んでいるだけ。


「茶を飲みながら?」


 アイナの言葉も御道理。


「剣を握るだけなら子どもでも出来ますから」


「だな」


「子どもでしょう」


 実際にクロウとイズミは子どもだ。


 精通も生理も来ていない。


 キンと鍔迫り合う剣同士。


「こっちの術式を転写して……」


 ローズは魔術の世界に引き籠もっていた。


「お兄ちゃんや教授くらい強くなりたい」


 嘘ではない。


 むしろ真摯だ。


 が、当人は気付いていない。


 当たり前だが。


 そも光の性質を把握していない。


 当人の切り札。


 光と熱の複合魔術、


「レーザー」


 その意味するところを。


 回避不能。


 事前に察知しなければ防御すら不能だろう。


 それほど速いのだ。


 光は。


 なお、ある程度の威力なら無詠唱で発現できる。


 十二分にSランクの実力を持っていた。


 自覚が無いのは天然だ。


 デミエルフ。


 その魔術の実力は、既にして良識の範疇に属さない。


「いいんですけどね」


 とはクロウの心中。


「教えなくて良いんですか?」


「何をでしょう?」


 感応石を通した念話だ。


「既にSランクの実力があると」


「折角エルフの血を受けたのですから驕ることなく邁進させる方が有益でしょう」


「にゃる」


 それは肯定できる話だった。


 知らぬは当人ばかりなり。


「意識がずれてるぞ?」


 イズミが不満げだ。


「そんなに戦いたいならギルマスに頼めばいいのでは?」


「あのおっさんは弱いからなぁ」


 多分イズミが強すぎるだけ。


 三人の意見だったが、


「…………」


「…………」


「…………」


 口にしては何も言わなかった。


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