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チートなサムライ二人目13


 で、


「じゃあ寝るか」


 良い時間帯だ。


「一緒に寝ようぜ」


「構いませんが……」


 即答するクロウの言葉に、ブッとハーブティーを飲んでいたアイナとローズが吹き出す。


「帰らなくて宜しいので?」


「家なんか持ってない」


 冒険者にとって固定資産は足を引っ張るだけだ。


「ギルドに頼めばホテルを用意してくれますでしょう?」


 事実だ。


 しかもイズミはSランク。


 待遇の良さはピカイチだろう。


 クロウの知ったこっちゃないが。


「クロウと寝る」


 駄々のような言葉だが、声質そのものは穏やかだ。


「クロウ様~?」


「お兄ちゃん……?」


 念話で責められるクロウ。


「何故にです」


 まぁ当人には不条理だろう。


「私も一緒に」


「ローズも……」


「大却下」


「むぅ」


「む……」


「何もしませんし出来ませんよ」


 事実だ。


 クロウもイズミも肉体が幼すぎる。


 間違いを起こす方が難しい。


「というわけで」


 クロウとイズミは寝室に消えていった。


 アイナの研究棟はそこだけで生活が出来る様に相成っている。


「キスも駄目ですからね?」


「駄目だよ……お兄ちゃん……」


 念話で固く戒められる。


「了解しました」


 とりあえず同意して、それからクロウはイズミと同衾。


「可愛いな。クロウは」


「イズミもですよ」


「まぁ俺の場合は出自に依るところ大だが」


 オーガのハーフ。


 亜人は美貌を持つという。


「ていうか武士なんですよね?」


「ああ」


 頷く。


 イズミは言った。


「これでも芸達者な方だったぜ?」


「それは打ち合って、わかりましたけど……」


 イズミ。


 上泉信綱。


 剣聖と呼ばれたサムライだ。


 こちらでも剣聖と呼ばれているが。


「とはいえ」


 ククッとイズミが笑う。


「源義経ほどでは無いがな」


「小生の場合は他にやることがなかっただけですけど」


 単純に鞍馬寺に預けられて、御大を師事した。


 それだけ。


「屋島や壇ノ浦では大活躍であったろう?」


「知っているんですね」


「伝説だからな」


「伝説……」


 当人はあまり納得していない。


「薄命の武士。実力を疎んじられ散った薄幸の英雄」


「然程でもないのですが」


 が判官贔屓という言葉も生まれているため、どちらかと云えば肯定的な伝え方をされている武将だ。


「で、此処で巡り会ったのは何だかな」


「結局戦うのですよね?」


「他に無いだろ?」


「あまり力を振りかざすのは前世の自戒として諫めたいものなのですけど……」


「俺は伝説のサムライと戦ってみたい」


 暗闇の中でも輝くイズミの瞳。


 眼は爛々と強者を求めていた。


「和刀はどうします?」


「こっちの世界に無いんだからしょうがない」


 両刃剣で戦うだけだ。


「そういうそっちは素手だろ?」


「ええ、まぁ」


「別に軽んじているつもりもないが、本当に大丈夫なんだろうな」


「無刀も一通り修めていますから」


「無刀ね」


「それより模擬戦のスケジュールだ。どうする?」


「ひっそり何処かでやりましょう」


「客呼ぼうぜ?」


「却下です」


「む~……」


 ふくれっ面のイズミだった。


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