チートなサムライ二人目11
「実際にはどんな風な?」
「然程複雑でもないぞ?」
あっさりと。
「雨霰と降ってくる魔術を無効化して特攻……敵兵を切り刻むだけだ」
云っていることは妥当だが、
「…………」
「…………」
アイナとローズは無言になった。
「まぁそうですよね」
一人クロウが茶を飲みながら納得する。
一応前世や転生者についてはイズミと共有しながらアイナとローズには黙ってもらう形と為っている。
「アンチマジックですかぁ」
「そんなわけだから剣で戦うとどうしても」
「では模擬戦くらいはしましょうか?」
「模擬戦……」
「イズミの全力も見たいですし」
「けど薄緑じゃ通じねえぜ?」
「此方は無手で挑みますよ」
「…………」
沈黙。
燗と光る黒瞳。
「軽んじている」
とはイズミも思っていない。
けれども和刀でなくともイズミの剣閃は人を殺しうる。
そこに無手で挑まれるのは、
「可能か?」
との言葉も出るものだ。
「御大曰く」
とはクロウの言。
「達人は獲物を選ばないんですよ」
「それにしても無手って……」
武は舞と為り無に還る。
京八流の終着点だ。
そこまで到っていないにしても、クロウとて型通りには下地を持つ。
「本気か?」
イズミ……幼い女子が不安げに眉を寄せる。
これだけ見ると、幼女が幼児に問いかけているようだが、二人とも実年齢はもっと上。
ましてイズミはハーフオーガ。
外見年齢はクロウと同じだが、其処に到達する時間はさらに見積もる必要がある。
要するに、
「この異世界への理解の深さ」
が一日の長と相成るのだ。
「あくまでイズミが構わないのでしたら……と注釈は尽きますが」
「うーむ」
アンチマジックも良いところばかりではないらしい。
言いたいことは分かるつもりだ。
イズミにも。
「刀が無ければ斬れないのは二流」
剣を志せば自然に身につく作法である。
クロウの無手も、
「全身剣であればこそ」
と言えるのだった。
「そこに……到っているのか?」
「極めてはおりませんが」
両手を肩の高さまで上げる。
降参のポーズ。
「じゃ、やってみるか」
案外あっさりとイズミは頷いた。
上泉信綱。
彼……今での彼女は確かに剣に飢えている。
そう云う意味では源義経は最適解ではあろう。
虎の巻。
京八流。
ソを知れば更なる剣の術理が手に入る。
「いいの……?」
ボソボソと問うたのは愛妹……ローズだ。
ちなみに念話。
「まぁ死にゃしないでしょう」
対する念話は気楽なものだ。
「クロウ様で勝てますか?」
「絶対とは言えない」
それは確かだ。
底は見せていないが、相手の底も見抜いていない。
「けれどもまぁ」
念話で嘆息。
「身是全き剣の如し……とでも云いますか」
「?」
「?」
首を傾げるアイナとローズ。
「無刀とて剣の内ですよ」
「意味分からないです」
「お兄ちゃんは……何を言っているの……?」
「そうなりますよね」
クロウとしても理解を得ようとは思っていなかった。




