チートなサムライ二人目07
喫茶店での一騒動。
騒ぎが収束した後で剣聖はクロウと相席した。
「それにしてもひょろっちいなお前」
クロウも筋肉ムキムキではない。
「で、ギルマスを負かせたってことは……」
ギクリ。
本質を見抜かれたらしい。
「オーガの血が入ってるだろ?」
「そういう剣聖さんもですか?」
幼女でありながらSランクの冒険者。
であれば出自はクロウと似かよるはず。
「ああ、ハーフオーガだ」
「ハーフオーガ?」
クロウはアイナに、
「デミオーガ」
と呼ばれることがある。
オーガの血を馴染ませた人間の総称だ。
妹のローズがデミエルフ。
「ほう。オーガから血を……」
声を潜めて会話する。
対外的に不細工な会話であるため、必然声量も落ちる。
「俺の場合は親がオーガだったんだよ」
「親御さんが……」
「父親の方がな。母親はまっこと普通の人間。で、俺は見た目人間だが能力はどっちかってーとオーガ寄りだな」
「それで剣聖と……」
「そっちは自称が定着した結果だな。名前はイズミ。呼び捨てで呼んでくれ」
「イズミですね。知っていますでしょうけどクロウです」
「ああ、把握はしている」
幼女……イズミがクスッと笑う。
「メイド剣士だとな」
「にゃるほど」
納得した瞬間、
「…………」
無言で剣が放たれた。
速度は高速。
一般人ではまず見切れない速度。
剣聖……イズミの剣がクロウを襲ったのだ。
「…………」
クロウは剣で対処した。
鍔迫り合いになる。
力を緩めたのはイズミの方。
さらに二閃。
クロウは軽やかに捌く。
「やるな」
「はあ」
ぼんやりとクロウはチョコレートを飲んだ。
さらに剣が振るわれる。
キキィンと幻聴が聞こえる。
刀の弾く音。
次いでクロウは反撃に出た。
高速で剣を振るう。
一閃。
二閃。
三閃。
悉く受け流される。
「?」
少しの動揺。
まるで流水を剣で切るような感覚。
クロウの知らない剣だった。
「ふむ」
イズミの方も何かを考えているらしい。
ウェイトレスに茶を頼みながら剣を振るう。
丁々発止。
丁々発止。
「やはり……か」
「凄いですねぇ」
二人は間合いを取る。
その辺の認識は容易い。
「無形の位に到るか……」
「むぎょうのくらい?」
「型無き型。制圏を全方向に広げる剣撃の極致」
「ああ、無構え」
「無構え?」
「要するに全方向に注視する剣でしょう?」
「ではあるがな」
二人の解釈にはズレがあった。
「紅茶にございます」
ウェイトレスがイズミに茶を差し出す。
イズミは『さっきから座ったまま』でぼんやりと述べた。
「お前、転生者だな?」
「っ!」
隠している事実を看破されて吹きそうになるクロウであった。




