表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/203

チートなサムライ二人目03


「はい。お茶です」


 メイド服姿のクロウが紅茶をアイナに差し出す。


 メイド稼業も中々様になっていた。


 乙女にも似た容貌に、黒いロングヘアー……それもストレートとくれば、


「男の娘」


 との表現も正確だ。


「ありがとうございます」


 とアイナは茶を受け取った。


 論文の執筆。


 そこで苦悩している。


 一応学院の教授の仕事ではある。


 魔術の研鑽。


 手段。


 可能性。


 術式と演算。


 それらの効率化。


 単純に、


「魔術」


 と呼ばれてはいるが、


「そもそもが学問なんですよね」


 といった具合。


 熱力学の否定。


 其処に端を発す。


「ところで噂は聞いていますか?」


 クロウの紅茶を飲みながらアイナは彼に問いかける。


「噂?」


 ダンジョンにいないときのクロウは、


「剣の修行」


 か、


「茶を淹れる」


 か。


 二つに一つだ。


 メイド服姿が可憐で、


「男でも良い!」


 と道を違う生徒もいるが、


「ソレは置いといて」


 箱を持ち上げて横にずらすジェスチャー。


 ちなみに当人にその気は無い。


「何でも剣聖がセントラルに居るとのことで」


「剣聖?」


 クロウには聞いたことのない熟語だ。


「私も詳しくは知りませんが……」


 と断ってから、


「何でもクロウと剣聖のどっちが強いかを衆人は噂しているようですよ?」


 クスリと笑われる。


「はあ……」


 ぼんやりと、


「剣聖……」


 呟く。


 聖なる剣。


 そう称されるほど強いのだろう。


「一手死合いたいものですね」


「さすがはクロウ様」


 にゃはは。


 そうアイナは笑った。


 太陽の暮れ頃。


「お疲れ様です……」


 ローズが研究室に現われた。


「お疲れ」


 クロウが紅の髪を撫でる。


「お兄ちゃん……」


 ギュッと抱きしめられる。


 それがとても愛おしい。


「ローズは甘えんぼさんですね」


「お兄ちゃんが……好きだから……」


「畏れ入ります」


 そんな様子。


「お兄ちゃん……」


「何でがしょ?」


「お兄ちゃんは……強いよね……?」


「自信はありませんが」


 そも比較対象が突き抜けているだけだが。


「剣聖と……どっちが強い……?」


「剣聖」


「さっきその話をしていたんですよ」


「あう……そなの……?」


「ええ」


 紅の髪をクシャッと。


「自信は……?」


「ありませんねぇ」


 本音だ。


 Sランクの冒険者。


 要するにギルマスより強い存在。


「信じられない」


 も確かにあるが、


「じゃあお前は何だ?」


 と言われれば答えに窮す。


 実際に化け物染みているのはクロウも同じだ。


 そをして恐怖せしめうる。


 剣聖は不気味な存在だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ