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ダンジョンには夢がある弐21


「で、ボスフロアですか」


 場所はリンボの四十階層。


 以前の攻略では来なかった場所だ。


 ある意味で初体験。


 進む三人。


「――――」


 呻き声が上がった。


 ボスモンスターのソレだろう。


 道を進むと人間が居た。


「シザーマン……」


 ポツリと呟くアイナ。


 直訳するところの鋏男。


 要するにシリアルキラーの代名詞だ。


「じゃ、小生がやりますので」


 障壁を展開して下がっていて欲しいです。


 そう提案する。


「さすがに補助は……」


 リンボの四十階層。


 四段階目のボス攻略だ。


「刀一本でどうにかなるのか?」


 懸念と言うには無謬性がある。


「手に負えないならその旨伝えますので」


 クロウに気負いは無い。


「――――」


 シザーマンは特殊金属で出来た大鋏を持っている。


 それを見せつけるように光らせた後、


「――――」


 加速。


「中々の初速ですね」


 クロウはシザーマンの頭上を取りながら論評した。


 鋏の一撃を跳躍で躱したのだ。


 アイナとローズは意識が追いついていない。


「要研鑽ですか」


 そんな様子。


 軸回転。


 シザーマンの頭部に刀が振るわれる。


 身を低くすることで避けるシザーマンは、その後着地予想地点に鋏を位置づける。


 けれどもクロウは落ちてこなかった。


「――――」


 頭上からさらに斬撃。


 二閃。


 三閃。


 躱す。


 人間の姿をしているとはいえボスフロアのモンスターだ。


 俊敏性は高次元。


 四閃。


 鋏で受け止められた。


 金属のぶつかる音。


 さすがに呼吸の問題があるため、意識しない限りにおいてはシザーマンの鋏は切り裂けない。


 薄緑であってもだ。


 キキィンと二度金属音。


 刀と鋏が打ち合う。


「疾」


 タタンと宙を蹴って、地面に着地。


 そこに鋏が襲いかかる。


 爆発。


 そう呼んで良かったろう。


 何かと言えばクロウの出だしだ。


 あまりの脚力に地面が爆ぜる音がする。


 超高速の斬撃がシザーマンの鋏の片刃を根元から切り裂いた。


「――――」


 驚愕なのだろうか。


 うめき声を上げるシザーマン。


「わお」


「うわぁ」


 後衛二人はドン引き。


 気にするクロウでもないが。


 薄緑が振るわれる。


 片刃になった大鋏で受け止められる。


 二閃。


 三閃。


 弾かれた。


「良し」


 クロウが言う。


「何が?」


 が後衛の感想。


 要するに鋏の呼吸を掴んだのだ。


 四閃目。


 大鋏の片刃を切り落とす。


 もはや鋏の体裁は無くなってしまう。


「金比羅様によろしく」


 供養の言葉を呟いたクロウ。


 並列して振るわれた斬撃はシザーマンの首を刎ねた。


 まるで抵抗もなく。


 金属が切り裂けるくらいだ。


 人体程度は造作も無い。


 まして薄緑の本来の銘が、


「膝丸」


 である以上、首から膝まで断てる名刀。


 殆ど防御の余地も残っていなかった。


 南無。


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