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ダンジョンには夢がある弐06


 一階ではめいめいの冒険者がうろついていた。


 クロウたちは注目を集め、パーティ参入やおこぼれに預かろうとする冒険者は多数現われる。


「いいんですか?」


 クロウが念話で尋ねると、


「まぁそういうご職業なのでしょう」


 と念話で返される。


「ご職業……」


 アイナの言を繰り返すクロウ。


 何もAランクの冒険者だけがAクラスのダンジョンに潜るわけでもない。


 BランクやCランクの冒険者も、身の振り方によってはAクラスのダンジョンで功績を挙げることも出来る。


 例えばクロウたちにピッタリと付いていき、モンスターを駆除して貰って攻略する……等々。


 ドロップアイテムの横取りは禁止されているが、ダンジョン深くまで攻略したというのも実績にはなり、冒険者としてのランクが上がることもままある。


 問題は、


「評価相応の実力を持っているか?」


 だが、


「驕って死ぬのも已む無し」


 とはギルドの弁。


 実力と評価が比例しないのは評価システムの杜撰さを示すものだが、まだコンピュータも無い世界であるためどうしても出現する。


 評価を上回る実力の主は少ないが、評価を下回る実力の主は度々見かける。


 だいたいクロウたちに近寄るのは後者の類だ。


「自分はAランクだから」


「Bランクだが評価以上だぜ?」


 等々。


「ヒルですね」


 とアイナは評した。


 比喩としては適当だ。


 さすがにダンジョン攻略は一日で終わるモノでもないため、


「仕事を学院長に押し付けた」


 のは致し方ないが、アクションとリアクションの逆転はクロウの微笑を誘った。


 学院長も苦労人だ。


「金銭は持っていますよね?」


「えと……はい……」


 コレは後衛の仕事。


 安全フロアで食料や水の補給は必須だ。


 そのためには金銭も必要となる。


 水は実のところ安全フロアで流れていることが多いが、食料はさすがに準備にも労力がある。


 安全フロアでは食堂の類も経営されているが、ダンジョン攻略途中の食事は保管せねばならない。


 パンや干し肉が主だったものだ。


 魔術で重量を軽くしたリュックサックをアイナが背負っている。


 大きめの鞄だが、足取りは軽やか。


 少なくとも前回程度の深度であれば保つ量ではあった。


「クロウ様ですね? 是非ともご一緒に」


「アイナ教授。雇われましょうか?」


「ローズさん。是非とも御業を見せて貰えればと」


 南無三。


 冒険者の方も必死なのではあろう。


 力を貸す気は無いにしても、


「大変なんですね」


 程度は言えた。


 念話で、であっても。


「ヒルですから」


 容赦ないアイナの評論。


「足手纏い……」


 ローズも中々言う。


 三人で思念チャットをし、


「連れて行っても足手纏い」


 と全員が合意した。


 結果、


「謹んでごめんなさい」


 で散らせるクロウたち。


「死ぬのが怖くないんでしょうか?」


 思念でクロウが語る。


「実力以上のダンジョンで名を挙げても意味がない」


 道理ではあるが、


「そも自殺しようとした奴が言うな」


 とこの場にオリジンがいればツッコんだことだろう。


「ギルドでランクが上がれば報償もソレだけ高くなりますから」


 ちなみにギルド員で無いクロウたちは金銭面では不利だ。


 Sランクとも呼ばれるが、


「あくまで見聞上」


 であって、実際にはランク外である。


 何にせよ仕事を放り出す名目でダンジョンに挑んでいるため、金銭の都合には斟酌もないとしても。


「いいのかな~?」


 と思えど、


「ダンジョンに挑むのは嬉しい」


 もクロウの事実。


 チョンチョンと薄緑の柄頭を指で叩く。


 嬉しさの表明だ。


 武術師のサガというか。


 腕を試したいのは理屈ではないのである。


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