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セントラル国家共有都市領域10


 司会進行が騎士学院代表の三名を紹介し、次いで魔術学院代表の三名を紹介する。


 その最後の項目を聞いてクロウは精神的……形而上的にずっこけた。


 事情に常識が追随しないという意味では、


『唖然』


 の二文字だ。


 魔術学院代表の三名の最後。


 紅の髪の美少女……その名を聞いて平静ではいられない。


「ローズ=ヴィスコンティ」


 そんな名だったのだから。


 外見年齢は少女だがクロウより年上に見える。


 が実年齢で云えばクロウの方が年上だ。


 何故かとの議論も必要ない。


 ローズ=ヴィスコンティ。


 クロウの現世での妹だったのだから。


「大丈夫ですか?」


「あまり……」


 思念で会話する二人。


「何か?」


「いえ、特に話すことでは……」


「そう言わず」


「気持ちに整理が付いたら話します」


「ではお待ちしております」


 慈愛の念でアイナは答えた。


「どうも」


 とクロウ。


 二次成長を迎えたためか。


 ローズは大人びて見えた。


 というかクロウの方が変わっていないだけなのだが。


 かくして司会進行。


 決闘場に十五体のゴーレムが作られる。


 魔術だ。


 土と岩とを含んだ人形。


 小柄ながら活発で、決闘場を所狭しと走り回る。


 元気なのは良いことだが、これで破壊の対象と言われるとクロウとしても無常にはなる。


 心付け自体は正しいが無用の感情にも違いない。


 騎士が剣を抜き、魔術師が緊張する。


 どちら共に武威を発して威嚇。


「ところで互いのゴーレム破壊が同時であった場合は?」


「審判の裁定次第ですね」


 そんなクロウとアイナの念話。


 そして試合開始。


 直後に閃光が広がった。


「何か?」


 そう思う暇も無い。


 光。


 衝撃。


 音。


 風。


 順に炸裂して複数のゴーレムが吹っ飛ぶ。


 当然ながら魔術ではあるが、


「誰の?」


 との疑問が場を占めた。


 理解していたのはクロウとアイナ……それから学院長のシャッハマットくらいだろう。


 魔術に明るくない騎士学院側には完全に不明である。


「まさか……」


 そんな言葉がアイナから零れた。


 その意味について此処で問いただすことをクロウはしない。


 であれば試合の成り行きを見守るだけだ。


「…………」


 ローズが人差し指をピンと伸ばしてツイと空間へ水平に線を引く。


 その線の延長に風の斬撃が乗せられてゴーレムを両断した。


 爆発に怯んだ騎士側が何か行動を起こす前に全てのゴーレムがローズの魔術で掃討されたのだ。


 無詠唱の魔術の使い手。


「魔術とは詠唱を紡いで世界を変質させる」


 という定義に反する存在。


「…………っ」


 ローズはソレをやってのけたのだ。


「この程度の魔術に詠唱や儀式は要らない」


 そんな宣言。


 司会進行も、


「何と言って良いのやら」


 と呆然としており、硬直していた。


 無論ローズを除く五人の学院代表も。


「まさか……ねぇ?」


 とはクロウの思念で、


「キター!」


 とはアイナの思念だった。


 決着である。


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