表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
187/203

金なる明星より降りし者参06


「てめ!」


「やろ!」


「調子!」


「ふざけ!」


 くあ、とクロウの欠伸。


 兵士たちの不満爆発。


 対処に少し労力を割いた。ありていに言えば、「少し撫でてやった」程度のものだが、職業軍人相手に年齢一桁がソレを為したのだ。


「化け物か!?」


 との論評も、決して大げさではあらじ――――どころかオーガ……鬼人としての異能を含めれば一種の化生ではあろう。


 尤も、一番働いたのはムサシだが。


 魔術による鎧袖一触。


 クロウは鬼丸で。


 イズミは魔術で。


 それぞれ難を逃れている。


 そのムサシはといえば、


「ふむ」


 空間魔術のかかったリュックサックを背負っている。


 完全にバックアップ専門の想定をしているらしく、二天一流のまじゅつは形而上の物となる。


 肉体の芯に剣の術理が存在しない。


 魔術師として身を振るようだ。


 しかし腰にはちゃっかり和刀を差している。


 イズミの(というと正確ではないが)召喚魔術で異世界から取り寄せた物だ。


 長曽根虎徹ながそねこてつマークⅡ。


 その影打。


 錬鉄。


 技術。


 斬性。


 耐性。


 全て高水準。


「さすがに本物はレベルが高いでしょう」


 と少しムサシははしゃいでいた。


「ありがとうざいます。拙も大切にするでしょう」


 とも。


「で、まだ潜ってないのにコレですか」


 倒れ伏した兵士らを眺めやって、


「ふ」


 クロウの吐息。


 彼にしてみれば何時もの苦労性の発露ではあるも……下山からコッチ、トラブルに愛されているのは否定能わじ。


 爆裂。


 爆裂。


 また爆裂。


 吹っ飛ばされる兵士たち。


 対魔術装備の兵士たちも居はしたが、


「疾」


「射」


 クロウとイズミの剣の前に沈んだ。


 一応、殺してはいないが。


 爆発の魔術も、衝撃と爆音で、打撃と鼓膜破り程度だ。


「何ゆえ第一階層で戦いが?」


「それは俺も知りたい」


「拙もでしょう」


 三人揃って、首を傾げていた。


 まず安全地帯にしてキャンプ場でもある第一階層で、派手なドンパチをやらかしている因果関係が等価で結ばれない……その点に想いを馳せるも、答える者がいるはずも無し。


 言ってしまえば発端はイズミの剣撃だが、正当性はある。


 そこから連鎖的に兵士が襲ってきており、


「後はなし崩しか」


 そう相成る。


「ふーむ」


 中々情緒ある展開だった。


 様式美。


 いつも通り……とも言う。


「これだけでも共和国の軍隊削りましたよね」


「そらな」


「会談は無事でしょうか?」


「別に奪い合いに発展するならソレも良いんじゃねえの?」


「イズミは傭兵ですからご自身のことも……」


「心配してくれるのか?」


「駄目ですか?」


「結婚してくれ」


「心に決めた人がいますので」


「ソイツを斬れ……と?」


「……………………」


 カチャと鬼丸が鳴いた。


「ジョークだ」


「笑えませんよ」


「仲が宜しゅうございましょう」


 ムサシがそんな二人をクスクス笑ってみていた。


 爆発。


 爆撃。


 爆音。


 爆轟。


 パズルゲームの連鎖反応のように、物事を解決していく。


「南無阿弥陀仏」


 チーン。


「で」


 あらかた無力化したのは先述通り。


「ムサシはソレで良いのか?」


「むしろ拙が魔術でフォローしないと、全員前衛ですし」


「……だな」


 一分の否定余地もなかった。


「じゃ、行きますか」


「クラスは?」


「入れば分かる」


「そうでしょうけども」


 クロウは思案。


 イズミは強気。


 ムサシは温和。


 それぞれが、それぞれに、


「ダンジョンの何たるか」


 に思うところもあるらしい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ