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セントラル国家共有都市領域09


 それから数日後。


 スケジュールを合わせ、計画を詰め、騎士学院と魔術学院の腕比べが催された。


 一応生徒は学院の財産なので物騒な殺し合いは許可されていない。


 重傷を負わせる類の攻撃も許可されていない。


「その辺の塩梅はどうするんでしょう?」


 とメイド服姿のクロウが聞くと、


「学院生はその辺の空気を読めますから」


 と教授格のローブを纏ったアイナが答えた。


 二人はコロシアムの観客席で決闘場を見下ろす形だ。


 事前に告知はあったがクロウはともあれアイナも特に関心を寄せず、結果として騎士学院と魔術学院の代表が誰なのかはさっぱり認知していない。


 立場としては魔術学院側を応援する方向ではあるが、クロウとしては騎士の魔術捌きの方に関心が行っているらしい。


「剣一本で魔術にどう競り勝つか?」


 そうアイナにだけ心を吐露すると、


「クロウ様らしいです」


 と乙女の微笑が贈呈された。


 騎士……剣士にとっての魔術への対応は何処の世界でも一定の価値を持つ。


 前世がそうであったから現世でもその試みへの探求をクロウは棄てること能わず……また棄てる気も無かった。


 因果とはコレを指す。


「一対一の決闘でしょうか?」


「それは試合設定によりますね」


 運営委員としては、


「一対一だけでは興ざめ」


 との観念もあるらしい。


 そうクロウはアイナに聞かされた。


「なるほど」


 と言葉では納得する。


 クロウが見ていると試合の開始が進行して、声を拡散させる魔術で運営が場を盛り上げた。


 此度はゴーレム掃討戦と相成るらしい。


「ゴーレム?」


 とクロウが訝しがると、


「土で出来た自律人形のことです」


 とアイナが思念で答えた。


 イヤリングでのテレパシーだ。


 学院でメイドを始めてからあまり離れることのないクロウとアイナであったため、イヤリングの恩恵は少し珍しい。


 その間にも場は進行する。


 ルール説明。


 十五体の小さなゴーレムを走り回らせ、先に八体を破壊した方の勝利。


 そんな感じ。


「ふむ」


 とクロウ。


 思念でアイナに語りかける。


「どちらかと云えば騎士学院側に有利ではありませんか?」


「以前の試合が魔術学院側に有利でしたから」


「なるほど」


 簡素な首肯と思念。


 小さなゴーレムを破壊するというのなら無条件に剣を振れる騎士の方がお手軽ではある。


 魔術師は一々集中し呪文を唱えて魔術を行使せねばならないのだから。


 その分、強力な魔術なら纏めて掃討も出来るだろうが、クロウの感想としては騎士の方に有利と思えた。


 あくまでクロウ自身を基準としているため、あまり正確でもないが。


 そして選手入場。


 騎士学院ならび魔術学院は共に三人の代表を選出した。


「…………」


 沈黙するクロウ。


 理由はある。


 魔術学院側の代表に紅の髪と瞳の美少女が居たからだ。


「どうかしましたか?」


 思念でアイナが語りかけてくる。


「ええと……まぁ……どうにかはしました」


 言葉が濁る。


 仕方ないことでもあるが。


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