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そんなわけでこんなわけ14


 早朝。


 クロウとイズミは素振りをしていた。


 ホテル側に、足を用意して貰い、後は時間まで剣術の鍛錬であり、これはもう精進と言うより宿業の域に達している。


 朝食の時間になって、漸く修練を取り止める。


 朝食はビュッフェ形式だった。


 適当に選んで、席に着く。


 どうしても魚や野菜を選びがちだ。


 この辺、転生者の業。


 朝食を取りながら、


「これからイース皇国へ?」


 とクロウが訪ねる。


「セントラルを抜けるな」


 それも然もあろう。


「国境紛争って言ってましたよね…………確か」


 それはまぁ戦争や殺し合いは尊ばれるべき事では無く、それを無視してもクロウにとってはあまり心地の良い響きとも捉えられない。


「然りだ」


 戦争。


 戦いと争い。


 流血の場だ。


 既述の如く、クロウも感慨深い。


 源平合戦は魂に根付いている。


「ということは」


「イース皇国の国境だな」


「うへぇ」


 顔をしかめる。


 不安はないが、面白くもない。


 そんな様子。


「イズミは何時も?」


「まぁ傭兵だしなぁ」


 Sランクの傭兵だ。


 国庫で雇う最上級。


「小生は関係ないのでは?」


「先に言ったろ」


「聞きましたけど」


 クロウを連れて行きたい。


 それが何を指すのか。


 朝食あぐあぐ。


「足は?」


「馬車だな。大商人に交渉してくれたらしい」


「うーん」


 デリシャス。


 それだけで稼ぎは十全な気がした。


 クロウ曰く、


「黙っていても生きていける」


 が傭兵のSランクだ。


「南無」


「どういう意味だ?」


「不条理というか」


「それこそお前が言うか」


「ですよね~」


 自認は在るらしい。


 朝食を食べ終え、朝風呂に入る。


 それからホテルをチェックアウト。


 ホテルマンが和やかに、


「またのご利用お待ちしております」


 そんな営業スマイル。


「いいのでしょうか?」


 無料で泊まったのだ。


「なんだかなぁ」


 がクロウの意見。


「Sランクは広告だからな」


 サラリとイズミ。


 だから、


「傭兵はランクを羨む」


 とのこと。


 イズミに喧嘩を売るのも、


「コレが起因だな」


 と当の本人がケラケラ笑いながら話した。


 まぁ言ってしまえば人外で、


「誰が勝てる?」


 は確かにテーゼだが。


「しっかし」


 虎徹の柄頭をチョンチョンと叩く。


「人間の業の深さよ」


「イズミが言いますか」


「クロウも相当だろう」


「否定はしませんけどね」


 サクリと言う。


「とりあえずは仕事だな」


「納豆も食べられますよ」


「そこまで追い詰められたら拍手喝采」


 それにはクロウも同意見だった。


 腰の鬼丸がカチリと謳う。


「安穏な旅なら良いのですけど」


「多分無理だな」


 決定的な方程式では無い。


 単なる経験則だ。


 が、星の巡りはある物で、


「ですよねー」


 クロウも結構諦めていた。


「ま……」


 ポンポンとクロウの肩を叩くイズミ。


「平和を願うのは悪いことじゃない」


 それで済むなら鬼丸は要らないのだが。


 オンマユラキランデイソワカ。


 印を切る。


 何事も、経験ではあった。


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