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金なる明星より降りし者弐22


「十階層か」


 イズミが、呟いた。


 所謂、ボスフロア。


「さて鬼が出るか蛇が出るか」


 進む。


 現われたのは、アンデッドだった。


 黒いボロのローブを纏った白骨死体。


 魔術だろう。


 宙に浮かんでおり、此方を睥睨している……、


「のか?」


 と、クロウが疑問系なのは、白骨の頭蓋に、目玉が存在していないため、


「どうやって視覚情報を得ているのか?」


 との疑問からだ。


 だいたい骨モンスターに共通する疑問だ。


「リッチ……」


 ローズが、ポツリと呟いた。


 リッチ。


 アンデッドの中でも、高位に位置するモンスターだ。


 不死身で、魔術に長ける。


「ははぁ」


 とクロウ。


「で、どうするのか」


 と、問うより先に、炎がクロウ旅団を襲った。


 既に、アイナとローズが、二重に防御障壁を展開している。


 炎は、遮断という形で、防がれた。


「あまり相性は宜しくありませんね」


 クロウにとっては、そうだろう。


 が、此処に…………アドバンテージ一方的な人物がいる。


「…………」


「…………」


「…………」


 三人の視線が、イズミに刺さる。


 ザクザクと。


 曰く、


「どうにかしろ」


 である。


 リッチが、魔術師である以上、イズミのアンチマジックは、適確な能力だった。


「だよなぁ」


 当人も、理解はしているらしい。


 魔術障壁をすり抜けて、リッチに迫る。


 灼熱の業火。


 雷鳴と雷撃。


 衝撃の伝播。


 悉く、アンチマジックの前に、敗れ去った。


「疾」


 トン、と跳ぶ。


 剣を振るう軌跡を認めたのは、当人以外では、クロウだけだ。


 それほど速く、自然で、合理的な剣だった。


 愛洲陰流。


 その一端である。


「――――」


 吠えるリッチ。


 まだ決着はついていなかった。


「あー……」


 更なる魔術が、イズミを襲う。


 パラレルマジック。


 自身への治癒魔術と並列して。


「頭かち割られんと分からんか……」


 アンチマジックで、波濤の如き魔術を、涼風と受け流しながらイズミ。


「どこまで規格外だ」


 とは、他三名の言葉だが、さすがにイズミも、「このメンバーにだけは、言われたくない」はずであろう。


「南無」


 唐竹割り。


 剣による、縦一文字。


 リッチを、左右に両断する、イズミだった。


「――――」


 怨嗟の声が萎んでいき、無音と共に、存在が希薄となる。


「わお」


 とアイナ。


 ドロップアイテムが、賢者の石だったのだ。


 最難関クラスでも、そうそう取れない貴重品。


 売るだけで、遊んで暮らせるアイテム。


 実際、求める人間は多い。


 難老長寿の秘薬であるため。


 そっち方面では、クロウ旅団には必要のない物だが、魔術の儀式素材としても有用だ。


 卑金属を貴金属に変える効果も持っている。


 錬金術を修めるに当たって、有用と言えたかもしれなかった。


「さすが無理クラス」


 ――そこをサクサク進む、クロウ旅団が何者か?


 そんな意見もあった。


 ボスは倒したので、次に進める。


 十一階層。


 安全フロアだ。


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