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金なる明星より降りし者弐13


「次は……」


 しばし考えるような学院長。


「ではランクを上げましょうか」


 そう言った。


 魔法陣から現われたのは、トロールだ。


 人よりでかい図体。


 青色の筋肉。


 手には棍棒。


 典型的な、ダンジョンのモンスター。


「はあ」


 ぼんやり、と呟くローズ。


 風が奔った。


 ザクリ。


 トロールの頭部が、首から離れる。


 霧散して消える、トロールの疑似召喚。


「ではもう少し工夫して」


 そんな学院長の言葉。


 更に、二十体のトロールが、現われる。


 襲いかかるトロールだが、


「…………」


 ローズの魔術障壁は、突破できなかった。


「ふ……」


 吐息が一つ。


 ザクッ、と、トロールの群れが、切り裂かれる。


「――――」


 咆哮を上げるトロール。


 が、単純な膂力では、ローズの障壁は破れない。


 結果、的になった。


 トロールが、だ。


 サクリサクリと、滅ぼされる。


 風の斬撃が奔り、


「――――」


 トロールたちを、切り裂いていく。


 一種の地獄の具現。


 そう呼ばしめる光景。


「異常じゃないですか?」


「まぁデミエルフですし」


 アイナの論評は、簡単な物だ。


 人がいないため、言えることでもある。


「それにしても……うーん……」


「クロウも出来るだろ?」


 無邪気な邪気で、イズミが問う。


「そうですけど」


 そこに異論は無い。


「それにしても」


 とはクロウ。


「トロール相手に……」


「一般的なトロールならBランクですよ?」


「さいですか」


 カクンと首を脱力。


 その間にも、


「…………」


 ローズの風の斬撃は、トロールを切って捨てていた。


「アレが正しい姿だと?」


「クロウ様がソレを言いますか」


 事実その通りではある。


 レッドトロールさえ、刀一本で、切り裂くクロウだ。


 人にどうこう言える立場でもない。


「ですけど~」


 学院長は、更に魔法陣から、トロールを疑似召喚する。


 無尽蔵に現われるトロール。


 切り滅ぼすローズ。


 其処に有るのは、血の熱狂だった。


 ザクリ。


 ザクリ。


 切られて消えるトロール。


 もはや単なる的だ。


 ローズの魔術にとっての。


 ザクザクと切られて、消え失せる。


「なんだかなぁ」


 とはクロウの言。


 妹の規格外さを見ての感想だ。


 然もあらん。


 トロールを、鎧袖一触にする。


 無論、


「小生にも出来ますが」


 は前提であれど、


「妹がそれを為す」


 となれば兄心が作用する。


「いいのかなぁ」


 とも思うが、


「そもそもにしてアイナがSクラスのダンジョンへの挑戦権を得るため」


 そのための試験だ。


 であれば、


「トロール程度」


 は能力の範疇。


 むしろ危険に陥る方が、事情としては、否に当たる。


「まぁ気にするなよ」


 イズミは気楽そうだ。


「お前の妹も使えるってことだ」


「それはそうなんですが……」


 何とも歯切れの悪いクロウだった。


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