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金なる明星より降りし者弐06


 次いで襲う濃霧。


 クロウの超接近。


 ソレに対処した後、


「イメージか!」


 そう気付かされるイズミ。


 本物のクロウが、襲いかかる。


 一瞬。


 刹那。


 雲耀の速さだ。


 狙いは、心臓。


 牽制をかけるイズミ。


 苦にしないクロウ。


 ピタリ、と、手刀が止まる。


 タイミングのずれ。


 其処につけ込むクロウだった。


 逆手の手刀が、イズミを襲う。


「致命的」


 そんなイズミの感想は、適確だ。


 人体程度なら、易々と切り裂くだろう。


 それだけの武威は、あった。


 法度も。


「くっ」


 イズミが、呻く。


 クロウは、止まらない。


 タン、と、音がする。


 踏み出しだ。


 零距離。


「やば――」


 思うも一瞬。


 寸勁。


 クロウの繰り出した拳の勢いに任せて、全力で後背に跳ぶイズミだった。


「うわ」


 憮然とするクロウ。


「是を躱しますか」


「どういう研鑽だ」


 イズミとしても、信じられない。


 もはや、


「剣を持っているだけ、こっちが優位」


 とは、とても思えない。


 難ある強敵。


 ソレに相違ない。


 元より、そのハラではあった。


 が、イメージと実戦では、大きな差異がある。


 これは、クロウ側にも、言える事だが。


 ヒュッ、と、クロウが、手を振った。


 風が切り裂かれる。


 既に、


「無刀の意味」


 を、イズミは、察していた。


 身是剣如。


 ――剣に拘っていては剣ではない。


 過不足無い、クロウの言葉。


 その実際を知れば、笑い飛ばせもしない。


「病気だな」


「偏に」


 クロウは否定しなかった。


 淡々としているのは、コンセントレーションの証左だ。


 実際のクロウは、追い詰められている。


 慣れない剣を握って、尚神速。


 一瞬でも気を抜けば、斬り捨てられる領域。


 その技術を、イズミは持っている。


 どちらかというならば、戦慄しているのは、クロウの方なのだ。


 面には出さないとしても。


 イメージが、襲ってくる。


 クロウも、イメージで対処。


 丁々発止。


「ふむ」


「んん」


 イズミとクロウは、互いに手の内を探る。


「どうしたものかね?」


「さて」


 二人揃って、決定打に欠ける。


「――――」


 観客は、沸き上がっていた。


 Sランクの戦いの異常さは、理解しているらしい。


「さて、そうなると……」


 クロウは思案する。


 身体能力としては、全身全霊だが、


「本気を出していない」


 のも事実。


 どうしたものか。


 勘案するクロウだった。


「ま、やるだけやってみますか」


 武威が、発せられる。


「っ」


 イズミの警戒。


 無視して直線的に、クロウは迫る。


 その加速は、ストップを含有していなかった。


 イズミの薙ぎが、対処する。


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