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便利屋オーリが世界を救うまで  作者: 匂坂 幾人
機械の国編 -一人ぼっちの少年-
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「それで機械をもらったって……どう考えても怪しいよね、それ」

「……他の機械は居なかったし、しょうがないだろ」

 ニコルの家(でいいのだろうか?)に戻り、事情を話したら疑いの目で見られた。

それが普通の反応だと思うし、俺だってあいつ……マキナの事を信じている訳ではない。

「まあ、他の機械が居なかったというのは引っかかるけども。この子を回収できただけよかったのかな」

「処分予定とは言ってたが、解析できそうか?」

「うん。大丈夫だと思うよ」

 ニコルが指示した場所へ機械を寝かせる。その機械に流れる動作で機材を付けていった。

そんなニコルの邪魔をしても悪いと思い、別の部屋で待つことにする。

 それにしても、処分する理由は何だったんだろうか。

所々汚れてはいたが、廃棄される程だとは思えない。

単に寿命が訪れたのだろうか。それか、廃棄せざる負えなかったのか。

『わっ!!』

「どうした!?」

 ニコルが作業していた部屋へ駆け寄る。ニコルは尻もちをついていた。

辺りの機材も乱雑になっているし、肝心の機械が居ない。

 やはり罠だったのか? 機械に逃げられたとなると相当まずい。折角の手がかりが消えてしまう。

いや、まずはニコルの無事を確認か。と考えた瞬間だった。

『つかまえた~!』

「え……?」

『あれ、さっきの人とはまた別の人だ』

 背中に何かが乗っかかる。持ってきた機械と同じぐらいの重さだ。

と言うより、機械そのものだ。向こうに敵意は無いらしい。

「重い。降りてくれ」

「えー!」

「降りろ」

「ぶーぶー」

 いかにも渋々といった感じだが、言うことは聞くらしい。おとなしく背中から降りていった。

 よくよく見てみると、スレンダーな身体にくりっとした瞳。小さめの可愛らしい口唇に、肩まで伸びてる青色のポニーテール。

 動いてると活発的な、明るい印象を感じさせる機械だ。

 ……しかし、俺の事が見えているとなると、こいつも特殊な機械なのか?

なら何故処分されたのだろう。何らかの役割を持っているなら捨てられることは無いはずだ。

「壊れてるもんだと思ったけど、ピンピンしてるな」

「動くためのエネルギーが無かっただけだもん」

「エネルギーか。機械も動く為に必要なんだな」

「動くのに何もいらずなんてことはないからねー。機械にも必要なものはあるのです」

「街に機械が居なかったのはそういうことか」

「そうなんじゃないかな。私はよくわからないけど」

「……お前、どうして処分されそうになったんだ?」

「んー。よくわからない」

「わからないって……」

「目が覚めたら廃棄だって……それで捨てられたの」

 目が覚めたら廃棄と言うことは、意図的に作られたわけじゃないのか?

そうだとすると、一体誰が何のために作ったんだ。

「いてて……飛び出すとは思わなかったよ」

「ニコル、大丈夫だったか?」

「大丈夫だよ。びっくりしたけどね」

 やれやれ、といった感じで乱れた機材をまとめるニコル。

怪我とかは特にない様で、一先ひとまず安心した。

「えーっと、ごめんね。電源が入ったからつい」

「安直に繋げた僕も悪かったから気にしないで」

「うー……」

「大丈夫だから。それより、まるで感情を持ってるようだけど、作ったのは誰?」

「……あれ、おかしいな。思い出せない」

「思い出せない?」

「うん。機械なのになんでだろう。捨てられた事しかわからないや」

 機械がしゅんと俯いてしまった。その仕草が怒られた子犬を連想させる。

目が覚めたら何も思い出せないというのは、機械も辛いのだろう。

「この子を渡したやつが処分予定って言ってたなら、メモリを消されたのかな」

「廃棄予定なのにそんな事するのか?」

「普通ならしないね。そもそも、廃棄というのが珍しいんだ。

 大抵の物は部品を変える事で長続きするし、致命的な壊れ方をしても使える部分は流用出来るからね。

 一機丸々捨てるなんて機械達が行うとは思えない」

「つまり、この子は奴らにとって都合が悪い存在ってことか」

「私は作られたのに、捨てられちゃう事しちゃったのかな……」

「何をしたのかはわからないけど、大事なのは今だよ。これからを楽しめばいいじゃないか」

「そうだぜ。過去に何があっても、生きてるならいくらでもやり直せる」

 そう、生きてる限り何度でもいいことは訪れるんだ。

 過去に捕らわれてもいいことなんてない。シノも、それをわかってくれてればいいんだが……。

「ありがとう。えっと……」

「僕はニコル」

「オーリだ」

「ニコルにオーリね。ありがとう! 私は……」

「ああそっか。記憶がないってことは名前もわからないんだ」

「なら、ニコルが名付けてやれば?」

「え、僕?」

「私も、ニコルに付けてほしいな」

 機械にも頼まれ腕組みをするニコル。

 折角の名前だし、よく考えているのだろう。ニコルにとっても機械は大事なものだろうからな。

「うーん……”ネオ”っていうのはどうかな?」

「新しいもの、か。いいんじゃないか」

「新しいもの……ネオ。素敵な名前だね!」


更新遅れて申し訳ありません

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