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便利屋オーリが世界を救うまで  作者: 匂坂 幾人
機械の国編 -一人ぼっちの少年-
1/34

「機械の国?」

『ああ。人間が機械を作り、機械が人間の代わりに働く国らしい』

「そんな国があるなんてな。なんかあったのか?」

『機械が暴走しているらしい』

「暴走?」

『機械が人間を殺してる。何故かは知らないがね』

「機械が意思を持っているのか?」

『断定はできない。そういう研究がされていたという情報はあるが、依頼主は結末を知らないらしい』

「結末は分からずじまいか。それで、今回の依頼は?」

『機械の暴走の真相解明、及び、生存中の機械技師の救出』

「それぐらいならすぐ終わりそうだな。カノンにちょっと出かけるって伝えといてくれ」

『ああ。頼んだよ、便利屋さん』


***


「長かった……」

 ジャックがかなり遠いとは言っていたが、まさか二日もかかるとは思わなかった。

しかも、所々馬車に乗せてもらっての二日。こんなことなら馬を借りてくれば良かったな。

「さて……どうするかな」

 端的に状況を説明をすると、警備中の機械に囲まれてしまった。

数はざっと十機、それぞれの手には機関銃が握られている。

だが、撃たない所を見ると、誰これ殺す訳ではないらしい。

「国に入る気か?」

「勿論そのつもりだけど?」

「国に入る者。排除する」

「それは誰かの命令なのか?」

「ああ。そうだ」

「誰の?」

「答える道理は無い」

 そりゃそうだ、と思いつつ打開策を探す。

数は圧倒的に不利。機械が武装してるという情報はなかった為、手軽な短剣しか持ってきていない。

……うん、打開策がどうのって話じゃないな。一旦引き返した方がいいだろう。

「引き返せ。そうしたら命までは取らない」

「そうするしかなさそうだ」

「わかったらもうこの国にはくるな」

「帰る前に一つ聞きたい。何故お前らは製造主であろう人間を殺したんだ?」

「……それを知ってどうする。知った所で──」

『ワーニング! ワーニング!』

 言葉を遮るように、突然と一機の機械が叫び出した。

それにつられて他の機械達が騒然としだす。

『エラーコード。エラーコード。不正なアクセスを確認。脳部を再起動します』

「不正なアクセス……まずい、電波遮断装置を! 急げ!!」

 最初の一機に続いて、計三機が項垂れる。

警告ワーニング、不正なアクセスとも言っていた。外部からの妨害か?

動揺するこちらを他所に、項垂れた機械達が再び動きだす。

『……再起動完了。ミッションを開始』

 そう言うと機械達は、隣の機械に銃口を向けた。

「銃を降ろせ。我々は敵じゃない」

「ミッション、絶対。使命、全う」

「やめろ。撃つな!」

人間、殺す(・・ ・・ )

 そんな懇願にも近い言葉は無視され、銃声が響いた。

その銃声を皮切りに、機械同士の撃ち合いが始まる。

何が起こっているか分からないが、機械達の意識がこちらから離れた。このチャンスを逃す訳にはいかない。

 動かなくなった機械から機関銃を取り、周りの機械を撃ち続ける。

程なくして、機械達は動かなくなった。

「何だったんだ一体」

 あれが、機械の暴走というやつなのだろうか。

何であれ、国に入れるようになったんだ。幸運だったと思っておこう。

 国に入るためのゲートを通りつつ、得た情報をまとめる。

まず、機械は人間を無差別に殺してるわけではないらしい。

国外だからかもしれないが、あの機械達に俺を殺す気は無かったと思う。

 それに、一機が暴走する直前に言っていた『人間、殺す』という言葉が引っかかっている。

あいつらの見た目は完全に機械だった。なのに暴走した機械はそれを人間と言った。

あいつらの言う人間とは一体何なのだろうか。

 そして、こちらの質問に受け答えた所を見ると、人間と同等の知識を持ってるのだろう。

その知識はどうやって得たのだろうか。そして、何をしようとしているのか。

機械達に命令する存在が居ること。また、それを妨害する何者かの影。

 まずは妨害してる者を探っていくのが良さそうだ。途中で機械への対応策も見つかるだろう。

方向性も決まった所で出口が見えてくる。

 しかし、そこから見えた光景に、思わず驚愕してしまうのだった。

「どういう、ことだ……」

 ジャックの話では、人間はほとんど殺されてると言っていた。

機械達も、暴走状態なら人間を殺してもおかしくないと思っていた。


なのに、何故──


 ──人間が生活しているんだ。


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