『#物書きのみんな自分の文体でカップ焼きそばの作り方書こうよ』
その存在は彼も気づいている。
寝る前に少し空腹を刺激するような話をしてやればいい。
後は、その時を静かに待つだけ......。
夕食は少な目だった。
きっと満足はしていないはずだ。
最近、お腹の贅肉が目立ってきた彼の要望なのだから文句も言えないのだろう。
静かに彼がベッドを抜け出す。
私が寝ていると思い込んでいるのだろう。
出来るだけ音を立てないよう気遣っているのが感じられる。
少しずつ蓋を剥がす音に思わず笑みがこぼれた。
ポットにお湯は充分入っているはずだ。
わざと空にしておくほど私も意地悪ではない。
でも、今度やってみようかな。
慌てる彼を覗き見るのも面白いかもしれない。
あと3分。
私もゆっくりとベッドを抜け出す。
出来上がりのタイミングでリビングに入っていってやろう。
そして彼が湯切りを始めた。
音が立たないよう、シンクの側面に流している。
引き戸の隙間から見える彼の大きな背中が小さくなっていて、なんとも可愛い。
そしてソースを入れて箸を取り出すと静かに椅子に腰を掛けた。
さあ、何て言うかしら?
私が扉を開けたのは、箸で掴んだ麺が口に入る直前だった。
彼の言い訳を聞きながら、仲良く半分こ食べました。