きせき
朝、窓から照りつける太陽の光を浴びて、俺は目を覚ます。
今日は天気がいいようだ。
太陽の光は容赦なく降り注ぎ、部屋の温度を上げていく。
窓を開けても風はなく、セミの鳴き声がはっきり聞こえるだけだった。
「ゆぴぃ・・・」
セミよりもか細い鳴き声が聞こえる。
涼みがてら、そろそろ届けに行こうか。
俺は手早く準備を済ませ、炎天下の中を歩く覚悟を決めた。
自宅からほど近く。
暑さに蕩けるようになりながら、目的地に到着した。
『ゆっくり教育研究所』
ここは日々ゆっくりの教育について研究を行い、ゆっくりを育てる『しつけ』を研究する施設である。
あちらこちらで足焼きだの潰すだの活発な議論が聞こえるなか、受付に赤ゆまりさを差し出す。
今の鬼威惨に求められるもの、それは沢山のゆっくりでも、複雑な虐待道具でもない。
それは『情報』。そのゆっくりがどんな親の元でどのように育ち、何を考え何を感じ、そして絶望のもとに死んでいったのか。そしてその子供はどのように育ち、そして死んでいくのか。
「はい、ありがとうございます。148番ですね。こちらに『しつけ』の詳細をお願い致します。」
ゆっくりはこの研究所オリジナルの白いバッチで番号管理される。今やインターネットで何番のゆっくりはどのような家系なのか、すぐにわかるのだ。
受付から差し出された紙にはあのれいむの両親の最後が記されている。その下に、あのれいむの最後を書く。それがここのルールだ。
あのれいむの父まりさは無謀にも人間の家でおうち宣言を行い、潰されたらしい。
母れいむは最初こそ自ゆんはどうなってもいいと、おちびちゃんだけはと言っていたようだが最後には・・。
ゆっくりの子はゆっくり、ということだろうか。
その後、引き取られたれいむは成体になるまで施設で育てられたらしい。
そして成体になる頃、ゲス化が進みはじめたため、番を持たせるのは困難と判断し、精子餡を注入、『自然』に帰された。
もちろん生きていけるわけがない。
物乞いをしているところをたまたま俺が見つけて、楽しませてもらったというわけだ。
おうちもごはんも、そしておちびちゃんも、すべて人間の手によって与えられていたれいむ。
これまでのれいむのゆん生を読む限り、他のゆっくりよりは幸せだったように感じる。
俺はあのれいむの最後を書くと受付に渡す。あとはあの赤ゆまりさがどうなるのか。
誰か他の鬼威惨に拾われ、苦痛とともに餡系をつなぐのか。
はたまたどこか人知れず野たれ死に、無価値に餡系を終えるのか。
まぁ別にどっちでもいいだろう。
ゆっくりなんて、いくらでも勝手にはえてくるのだから。
そういえば56番が更新されてたな。善良な餡系だから誰か腕のいい鬼威惨が本性を暴いてくれないか楽しみだ。
「人気の番号だから予約しないと読めないかな・・・。」
少し心配しながらも俺は、今日も議論の場へ足を進めるのだった。