このこ
れいむは透明な箱に入れられ、鬼威惨のおうちへ連れて行かれた。
「ただいまーって誰もいないんだけどね。」
鬼威惨はアパートに1人暮らしのようだ。
れいむの入った箱をテーブルに置くと、ガスコンロに火をつける。
「ゆゆ!れいむとおちびちゃんはおなかぺーこぺーこだよ!ゆっくりしないでごはんさんを持ってきてね!たっくさんでいいよ!」
「はいはい。」
フライパンを熱しながらぞんざいに答える。
「れいむはかわいそうなんだよ!しんぐるまざーなんだよ!」
フライパンが十分に熱されたところでゴマ油をフライパンに投入。
「生まれてくるゆっくりしたおちびちゃんのためにも、れいむはたくさんのごはんさんを」
そしておもむろにれいむを掴みあげ、熱々のフライパンにあんよを押し付けた。
「ゆぃぎゃぁぁぁあぁぁぉあぁ!!!!」
れいむの悲痛な叫びとゴマ油のいい香りが部屋中に広がる。
「ゆがっーーーがっーーゆ!ーーっーっーー!!」
悲鳴が声にならなくなったところでフライパンから下ろす。
れいむのしゅんっそく!のあんよは黒く焦げ、もう二度と動くことはなくなっていた。
「れっ・・れいぶのあんよさん・・・?いだいよ・・うごがないよ・・・?」
「まずは一個目。」
鬼威惨はれいむの茎から赤ゆをひとつむしり取ると、同じように熱々のフライパンに押し付けた。
「ゆぴっ・・」
「れいぶのおぢびぢゃんがぁぁぁぁぁぁぁ!」
赤ゆは短い悲鳴をあげ、一瞬で永遠にゆっくりした。
「ぐぞじじぃい!なにじでる!ごろず!ごろじてやるぅぅう!」
れいむのおちびちゃん!あんなにゆっくりしてたのに!どうして!どうして!どうして!!
あんよを焼かれたときより激しい痛みがれいむの餡子を襲う。すぐにでもせいっさい!してやりたいがれいむのあんよは動かない。
「うーん。いい香りだ。さて、二個目。」
鬼威惨は赤ゆを一つむしり取る。
「なっ!やべっ・・・やべでくだざい!おじいざん!どうが!どう」
ぷちっ
鬼威惨が指に少し力を入れる。プチトマトのように赤ゆは潰れ、目玉やお飾りが辺りに散らばった。
「あっ・・・おぢ・・おぢび・・ぢゃん・・・。」
「三個目。」
鬼威惨は串を取り出すと、それを赤ゆの目に突き刺した。
串は寒天の目にあっさりと貫通し、赤ゆの声にならない悲鳴が響き渡る。
れいむの頭の上で今、れいむのおうたも、すーりすーりも、何ひとつしあわせーを感じることなく、ひとつの希望が消えようとしていた。
れいむの希望が。これまで苦労して苦労して。やっと手に入れた幸せのカケラ。それが無残にも壊されていく。奪われていく。
黒ずんだ赤ゆは自然と、れいむの足元に落ちた。
「最後、四個目。」
「おにいざん!れいぶなんでぼじまず!だがらごのごだげは!ごのごだげはおだずげぐだざい!」
「なんでもする?本当?」
「ばいぃぃ!だがら!だがらぁぁあ!」
その言葉を聞きたかった。鬼威惨はにやりと笑った。