いない
「どぼぢでおうぢさんがいないのぉぉぉぉ!」
れいむの希望に満ちた幸せなゆん生は、そんな泣き声からはじまった。
れいむのおうちさんがいない。
「ゆっぐりじないでででぎでねぇぇぇ!」
ない。ない!れいむの苦労の結晶。風さんも雨さんもよせつけない。てっぺきのおうちが!
「しかたないね・・・。ゆっくりおうちさんをたてるよ!」
しかしれいむは落ち込まなかった。なければ新しくたてればよいのだ。どのみちおちびちゃんのため、広いおうちにしようと思っていたのだから!
早速作業に取り掛かろう。
まずはおうちをイメージする。できるだけ具体的に完成形をイメージするのだ。そうすればおうちさんはかってにはえてくる・・・
「どぼぢでおうぢさんがばえでごないのぉぉぉ!!」
わけもなく。
その後もれいむにとって苦労の連続だった。
いつもなら勝手にはえていたはずのあまあまさんがいない。狩りの達ゆんであるれいむにすら、一欠片のちょこれーとさんでさえ見つけられなかった。
さらにれいむを驚かせたのは・・・この辺りに住む虫さん達の強さだった。
何しろこの辺りの虫さんは
動くのだ!
あんよを器用に使い、目にも止まらぬ早さで歩いたり跳んだりする!
しゅんっそく!のれいむでさえ、全く捉えることができなかった。
「ゆっ・・・ゆっ・・・ゆがぁぁぁぁぁ!!」
れいむの雄叫びに反応してか、茎の赤ゆが身じろぎをする。
ゆぅ・・・ゆぅ・・・
幸せそうに寝息をたてて。
「おちびちゃん・・・」
頭の茎が少し、重くなったように感じた。
あれから数日後
れいむは狩りを諦めていた。ロクに食べるものもなく、悔しいが虫さんですらとても捕まえることはできなかった。
だから
「おねがいじまず!にんげんざん!れいむにごばんざんをわげでぐだざい!」
こうなるのは
「ゆっぐりじだおぢびじゃんがうばれるんでず!ぼねがびじばぶ!」
「やぁれいむ!大変だったね!よかったらうちでゆっくりしていってね!」
「ぼぢいざん!ばりがどうございばずぅぅぅぅ!」
ゆっくりの、運命だろう。