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「喰いながらでいいから、ここについて知ってることを教えてくれ」
そう言って綺麗に焼かれたネズミに齧りながら私に言う。
「私も先程、話した通りのことしか分からないな。ここの内部のことはさっぱり分からない」
手渡された鳥肉に少し口をつけながら言う。
「湖の上ってことは船で行き来してるんだよな?まさか、さっき言っていた魚の上に乗ってきてる訳じゃないよな?」
「ああ、船といっても小舟だが。乗ったのを覚えてないのか?」
「眠らされてるうちにここに入れられたからな、まったくと言って覚えてない。変なやつが杖から光る玉みたいなのを出して……それが俺にぶつかった途端、凄まじい睡魔に襲われてな。何だあれは」
「多分だが睡眠魔法だな」
「魔法ってさっきも言ってたな、そんなものがあんのか?ここは」
「一度も見たことがないのか?」
私の言葉に頷く。
「一度もないなんて、一体どこから来たんだ?」
「だから、日本だ……まぁ、魔法ってことはそういうことなんだろうな。ファンタジーの世界に迷い込んだ気分だ。いや、気分じゃないのか」
ぶつぶついいながら一人で納得する男に少し疑問を感じながら言葉を続ける。
「睡眠魔法といって対象した者に強烈な睡魔を与える魔法だ、受けたものは魔法の耐性にもよるがほぼ寝てしまうな」
「どうすりゃいいんだ?防ぐ手段は?」
「光の玉と言ったろ?あれがその睡眠魔法の魔力そのものだから避けてしまえばいい。魔法として持続する時間も殆ど言ってないはずだ」
「なるほどね」
二匹目の焼きネズミを頬張りながら頷く。
「となるとだ、そいつさえどうにかすれば……いい訳だな」
「どういうことだ?」
男の言葉に尋ねる。
「決まってんだろ、ここから出るのにだよ。もしかしたらそいつがいない可能性もあるけどな……だとしたら楽で助かる」