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肉が焼ける香ばしい匂いが部屋を包み、思わず場所を忘れる。
「少し待ってろ、もう少しで焼き終わる」
「ここの見張りは大丈夫なのか?!そもそもどうやって!さっきのあれは何だ?!どうやって!?」
男の言葉で思いだして疑問が口から溢れ出る。
「この時間帯にあいつらはこねぇよ、火はあれだ。有名なやつだ、摩擦だっけ?そんなやつだ」
そんなことはどうでもいいとばかりに串に刺さった鳥を渡してくる。
「ほらよ」
ぶつ切りにされた鳥肉がいい匂いを醸している。
「さっさと食ったほうがいいぞ、冷めると不味くなるからな」
そう言って焼いたネズミに齧りつく。
それを見て鳥ならと一口齧る。
「おいしい」
思わず口にでる、焼いただけの鳥がこんなに美味しいとは思わなかった。